東北乾物・乾麺特集

麺類 2021.07.28

 ●コロナ禍“簡単”乾物品揃え 健康面から肉代替商品に期待
 原料事情が悪化し、販売も低迷が続いていた乾物が昨年度は前年を上回ったというメーカー、卸、小売が多い。コロナ禍での食生活の一端がうかがえる。コープ東北サンネット事業連合は乾物全体で前年比7.8%増で着地している。際立ってよかったのがもちの同15.4%増。海産では韓国海苔同33.4%増、早煮昆布同10.1%増といったところだ。乾麺が同16%増だったことも合わせ、備蓄型商品が売れたといえる。「東北はもちの指数が高く、販促が入っているか否かで数値が変わる」(コープ東北店舗商品本部加工食品部門)という。おせち商材は予想通り動いて、調理時間が増えていることを物語っている。昆布をはじめ、椎茸同4.8%増、雑穀(豆類)同11.2%増も同様の動きとなっている。
 一方で簡単、時短軸の商品はどうか。「調理時間を楽しむ層が増えたといわれるが、簡単乾物は底堅い」(国分東北マーケティング部)とし、ミックス簡便品、トッピングといったカテゴリーは重要な柱と位置付けている。三菱食品が2月に発売した、水を加えレンジアップだけで出来上がる「レンジでぽん!」シリーズ3品は究極の簡単乾物といえよう。加藤産業の「茶わん蒸しの素」も関連商材でおもしろい。
 さらに、伝統の乾物カテゴリーから抜け出した商品で大豆ミートは可能性を秘めている。健康軸の品揃えを重視するヨークベニマルはマルコメの「大豆のお肉」シリーズ中心に訴求する。日本アクセス南東北支店も「肉代替食品はこの先確実に広がる」と推す。さらにNBと乾物のコラボ「乾物deカレー」のような取組みが生き残り策として期待される。
 前期の伸びにどう手を打ったらいいのか、何もしないわけにはいかないが、裏年であるため手立てが見つからない–というのが製配販3層共通なところだ。乾麺はまさにそうだ。2桁の伸びは多くみられた。追いきれない数字が残っている。残り少なくなってきた夏物商戦に拍車をかけて、わずかでも近づけたいところだ。(東北支局長=三沢篤)