12月4日はマリトッツォ・ディ、本場イタリアではSNS投稿イベントも

ここ何年か、イタリアで大人気のスイーツ「マリトッツォ」。イタリアの首都ローマで、昔から伝統的に愛されてきたお菓子である。イタリアではマリトッツォをもっと楽しもうと、数年前から12月の第1土曜日を「マリトッツォ・デイ」として、いろんなイベントが催されている。その中でも注目のイベントはSNSへの投稿だ。実際に現地に行かなくても、ハッシュタグを付けて投稿することで、日本からでもイタリア人と一緒に盛り上がれる。ウィズコロナならではのイベントの楽しみ方を堪能してほしい。

ローマの伝統的なスイーツパン

マリトッツォがローマ名物になった経緯は諸説あるが、今から2000年以上も前の古代ローマ人が恋人に贈っていたという干しブドウとはちみつ入りのスイーツパンが起源といわれる。マリトッツォというユニークな名前は、イタリア語の夫を表す「マリート」が語源であり、受け取った女性が相手を夫とすることから派生した名称だと考えられる。

イタリアでは長いこと、キリスト教の四旬節という復活祭が始まる前の期間にマリトッツォを食べていた。当時のマリトッツォは、はちみつに干しブドウ、松の実、オレンジピールなどを使ったものであった。

生地に干しブドウが入っているものも多い

現在のマリトッツォには、多くのバリエーションがあるが、基本は水、小麦粉、酵母、砂糖、牛乳、卵、バター/オイルを中心としたものである。生クリームがたっぷり挟まれているのもローマのマリトッツォの基本的なタイプである。

無料マリトッツォ食べ比べイベントも

本場イタリアでも、人気のマリトッツォをもっと楽しもうと、毎年12月最初の第1土曜日をマリトッツォ・デイと称していろいろな企画が開催されている。

一番の楽しみは、ローマ市内の有名なケーキ店でミニサイズの本格的なマリトッツォが無料で食べられるというもの。事前にクーポンをゲットしていれば、なんとマリトッツォ・デイにはマリトッツォ・マラソンともいうべき食べ比べが無料でできるのである。もともと、ローマの菓子職人たちが中心となって始めたイベントだ。

ローマ市内のケーキ店で販売されているマリトッツォ

また、SNSによる投稿も人気だ。「#maritozzoday」のハッシュタグをつけて、写真、レシピ、ビデオ、ストーリーなど、それぞれのマリトッツォへの思いをこめて投稿するのである。昨年のマリトッツォ・デイは、あいにくイタリアではロックダウンでリアルイベントはできなかったが、SNSによるデジタルバージョンとして規模を縮小して実施された。

ウィズコロナの新スタイルイベント

今年も新型コロナウイルスのための緊急事態宣言が年内までは続く予定のイタリア。だが、SNSを利用したマリトッツォ・ディは、場所を選ばない新しいスタイルのイベントともいえる。家の中にいても参加できるイベントは、国境を越えて日本からでも参加が可能である。

SNS映えで宣伝効果に期待

日本でも大人気スイーツで三省堂国語辞典に「マリトッツォ」が新しい日本語として登場するというニュースが、イタリアでも話題となり、イタリア人を驚かせていた。日本のオリジナリティーあふれる個性的なマリトッツォは、ビジュアルがメーンなSNSに映えること間違いなしである。

また、レストランやケーキ店などでもマリトッツォ・デイでのハッシュタグ投稿を促すことで、店自体の宣伝効果もあると考えられる。IT(情報技術)を効果的に使えるイベントの新しいあり方として活用が期待できる。(フードライター 鈴木奈保子)