東欧ジョージアで独自の進化を遂げた日本食 人気の理由はチョイスメニュー

世界各国と同じようにジョージアでも日本食の人気は高い。ジョージア料理は元来味付けが濃い目で、油脂を大量に使った料理が多いため、ジョージア人は肥満を抱えている成人男女も多い。一方で、若い世代を中心に菜食や薄味などヘルシー志向のトレンドが生まれつつある。そういった新しい世代を中心に、ヘルシーな日本食への関心が高まっているのだ。

ジョージアで人気の日本食チェーン「ヤクザ」

今回紹介するのは、ジョージアの首都・トビリシで人気の日本食チェーン「YAKUDZA(ヤクザ)」である。

トビリシ市内では大変ポピュラーなチェーン店で、本店の他に市内だけで4店舗を展開している。それらの支店は全て、ショッピングモールのフードコートに入っている。マクドナルドやウェンディーズなどのファストフードに並んで、手軽に楽しめる日本食として人気を博している。

休日のフードコート。若者を中心に人があふれている

「YAKUDZA」には、世界的定番メニュー「スシ」に加え、もう一つの目玉商品がある。それがチョイスメニューだ。主食・具材・ソースそれぞれ自分の好きな組み合わせで選択し、自分だけの一品を作ることができる。

これらは丼物のように、専用の容器に全部一緒に入れて提供される。専用容器は紙製で蓋を閉じることもできるため、テークアウトにも対応可能だ。主食は米もしくはうどんなどの麺類、具材は肉やシーフード、野菜など、ソースはテリヤキのほか甘酢やカレーなどもある。

人気のチョイスメニューでは、自分好みのメニューが作れる

実は、ジョージアではあまりコメを主食として食べることはしない。むしろ、サラダに入れたり、肉と混ぜてロールキャベツ風にしたりと、野菜の一種として使用されている。そのため、主食として麺を選ぶことができるチョイスメニューは、初めての日本食としてより受け入れやすいようだ。

日本×ジョージア?不思議な味わいがクセになる

上に載せる具材やソースも、ジョージアらしさが出ている。具材はどれを選んでも、たくさんの野菜と一緒にソースに絡めて炒められた状態で提供される。ソースはジョージア人好みに、香草やスパイスがきいた、濃い目の味付けである。ゆえに日本食のイメージではないが、トムヤムソースやスイートチリソースの選択肢も。

野菜×肉×麺、テリヤキソースを選んだ

日本食だからとテリヤキソースを選んでも、さまざまな香りや匂いのする、独特なテリヤキを楽しむことができる。

ジョージアと日本の良いところをとって進化

もちろん、ジョージアにもスシやラーメン、トンカツなど、定番の日本食の店がたくさんあり、おいしい。しかし、これらは日本人シェフのいる比較的高級なレストランでのことだ。

一方、今回紹介した「YAKUDZA」は、リーズナブルな価格で、よりジョージア人の口に合う味付けで、自分の好きなメニューを楽しむことができる日本食だ。ジョージア料理の影響を受けた独特な味付けは、日本人が食べると最初は驚くかもしれない。

しかし、ジョージアと日本、双方の良いところをとって進化したこの味付けが、ジョージア人にここまで受け入れられ、好まれている理由なのかもしれない。(フードライター 加藤麻結)

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