即席麺特集

◆即席麺特集:本格商戦に向け商品戦略活発 コロナ禍で袋麺がけん引

小麦加工 2020.09.30 12125号 08面
需要期でカップ麺の復調が期待される

需要期でカップ麺の復調が期待される

 即席麺市場は堅調に推移し、秋冬の本格商戦に向けて、各メーカーなどから新商品の投入など、活発な活動が展開されている。即席麺は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、ストック需要などが増えため春先が大きく伸長した。その後も袋麺は伸長を続け、カップ麺がやや伸び悩んでいるものの、全体をけん引している。トータルで伸びている中、さらなる成長に向けて新商品やリニューアルなどが行われている。また、TVCMなどの販促活動も実施されはじめている。コロナ禍という、これまでと違う社会環境、それに伴う消費者ニーズの変化を踏まえつつも、即席麺がこれまで提供してきた簡便さ、保存性の高さ、おいしさ、楽しさを提案することで、存在感を高めていく考えだ。(久保喜寛)

 ●おいしさ・楽しさ提案 さらなる成長へ

 今年の即席麺を引っ張っているのは袋麺だ。ストックや巣ごもり需要で、5食パックを中心に売上げが伸びている。直近の8月単月でも前年と比べて2割増で推移している。主要メーカーの主要ブランドは、軒並み販売増となっているようだ。そのため、安定供給に向けて生産体制を整えて対応している。

 袋麺の好調要因は、1食当たりのコストパフォーマンスの良さと在宅時間の増加による調理機会の拡大の影響が大きい。もともと袋麺は、家庭内にある野菜などの食材と一緒に食べることを訴求しており、それが時流と相まって家庭内でアレンジして食べることにつながっているようだ。アレンジメニューは、TV番組やSNSなどのネットでも情報発信されており、ますますアレンジ提案が広まっていく可能性が高い。

 5食が中心だが、1食や2~3食といった小サイズ袋麺も着実に成長している。5食パックが家族向けとして選ばれているのに対し、1~3食タイプは自分で楽しむニーズで支持されているようだ。そのため、1~3食タイプは、定番品より、少しこだわったアイテムが増えていることから、即席麺ユーザーだけでない新たな需要層も獲得している。

 今年は伸びている袋麺だが、コロナ禍以前は縮小傾向にあったことから、コロナウイルス問題が収束した後でも、袋麺の販売が伸びるよう、この喫食機会の増加を生かしていきたい考えだ。そのため、アレンジメニューや新商品、外食のラーメンの代替となるような高品質の提案などを行っていく。

 今秋の注目の新商品は、日清食品の新しい袋麺のシリーズ「日清これ絶対うまいやつ!」と明星食品の「明星 麺神 神太麺×旨 醤油」と「同 神太麺×旨 味噌」だ。「これ絶対うまいやつ!」は、ターゲットの若年ファミリーが好む“濃くてうまい”味わいを特徴とした商品を展開。明星食品の「麺神」は、ラーメン店の味を追求し、即席麺の常識を超えた麺と濃厚なスープをコンセプトとして商品を投入する。

 カップ麺は4~5月好調だったものの、6月以降は需要が落ち着いている。テレワークの増加などでオフィスでの昼食需要が減少していること、主要販売チャネルのCVSの売上げが苦戦していることの影響で、タテ型や焼そばなどの皿型と大盛りタイプの販売が低調となっていることなどが要因だ。回復を図るため、メーカー各社は新商品やリニューアルなどに取り組む。

 新商品では、明星食品が袋麺と合わせてカップ麺の「明星 麺神カップ 神太麺×旨 醤油」を販売する。同社の独自技術を集結したタテ型カップノンフライ麺の最新ラインを導入し、その第1弾として提供する。ハイクラスのノンフライ麺として提案していく。

 リニューアルでは、東洋水産が「MARUCHAN QTTA」の主力品「しょうゆ味」と「シーフード味」の麺とスープを進化させ、さらにおいしく改良するとともに、「トマトクリーム味」と「サワークリームオニオン味」を新発売。

 サンヨー食品は、発売25年のロングセラー「サッポロ一番 カップスター」シリーズ全品をリニューアルする。「おいしさのパワーアップ」と「パッケージデザインの刷新」に取り組み、新規ユーザーとリピート率のさらなる向上を狙う。

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