マーガリン類特集

マーガリン類特集:家庭用=市場に下げ止まり感 グルメリッチタイプけん引続く

乳肉・油脂 2019.12.02 11979号 07面

19年1~9月の家庭用マーガリン類市場は、前年比2%程度の減少で推移した(本紙推定)。同期間の生産量(ファットスプレッド含む、日本マーガリン工業会調べ)は、同1.0%増の2万8444tで着地。生産量は増加に転じ、天候要因や食パンの売れ行き好調も追い風に下げ止まり感が出てきたとみることができる。中でもグルメリッチタイプ(バター風味や甘味系など)のけん引は続いており、秋以降は「おいしさ」や「楽しみ方」を訴求した市場底上げ策が活発に進みそうだ。

市場環境では、これまでパンまわりの競争激化、プレミアム食パンの隆盛による「そのまま食べる需要」などの厳しい消費環境が続いていた。昨年6月には米国でトランス脂肪酸規制がスタートしたが、国内ではメーカー各社による取組みで、過度な消費者離れは食い止められたと思われる。今年は6月までは市場の低空飛行が続いたが、7月に入ると涼しかった気候、食パンの売れ行き好調もあり、前年超えに転じた。8月に入っても前年クリアを維持し、下げ止まり傾向にあると考えられる。

こうした中、グルメリッチタイプは引き続き伸長。特に、バター代替品として成長してきたバター風味商品は料理用途の浸透も進み、ラインアップも増加。消費者の嗜好(しこう)でも「濃い」「しっかり」した味のトレンドもあるとみられる。J-オイルミルズの「ラーマ」は、塗りやすさに加えてメニューアレンジの提案が進む。

甘味系では、これまでマーガリンやファットスプレッドを試したことのない若年層への訴求が求められている。雪印メグミルクの「ミルキーソフト」は引き続きSNSなどでの話題喚起を行い、明治の「クリーミースム~ス」は売場に季節感を演出するアイテムとして需要底上げが期待される。同社の新ジャンル「スプレッタブル」はリピーターを確実に取り込んできているが、間口拡大への施策を活発化させていく。

一方、ヘルシータイプは苦戦が続いている。雪印メグミルクは「ネオソフト」の健康系3品で「部分水素添加油脂不使用・コレステロール0」を両立させ、需要を喚起してきたが、売場起点でのさらなる情報発信が求められている。安全・安心であることに「おいしさ」をプラスオンした情報発信が、今後の市場底上げに向けて重要になってくると思われる。(小澤弘教)

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