炒飯の素特集

◆炒飯の素特集:拡大傾向加速 焦点は反落からの回復

調味 2021.07.07 12256号 05面
久々の活況も需要は徐々に落ち着いた

久々の活況も需要は徐々に落ち着いた

 ●保存・機能性をアピール 根強い人気、徳用性支持

 炒飯(チャーハン)の素はご飯と炒め合わせる野菜、肉などの味わいを引き出し、全体の味をまとめる。さまざまな食材と相性が良く、栄養バランスの高い完全食、子どもも喜ぶワンプレートが簡単にできる。高いメニュー価値と保存性、2~6袋100円台の徳用感が支持されて人気は根強い。あみ印食品工業から始まる商品史は60年を越え、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ、前期の巣ごもり消費でも選ばれた。ロングセラーならではの発信不足に陥らず、食生活を豊かにする機能性を伝えたい。(吉岡勇樹)

 炒飯の素市場は20年度、前年比3%増の75億円で着地したとみられる。3年連続で拡大し、20年の伸長率が最大。コロナ対策の内食増が追い風になった。特に期初の4~5月、続く需要期の夏商戦で市場規模は前年比2桁増。久しぶりの活況に沸いたが、需要は徐々に落ち着いた。

 メーカー別に見るとほぼ全店に配荷する永谷園は前年実績並みの推移とみられる。特需は消費の前倒しとなり、前年にコロナ禍が始まった期末3月には反動減。上期の伸長が差し引かれた。ほか江崎グリコなどの追随メーカーは売場を広げ、市場拡大に貢献。新商品のエスビー食品の「町中華」も寄与したとみられる。

 競合する冷凍食品は20年に大幅増。生産額は前年比51.9%増の433億1500万円に増大し、ドライの本市場を圧倒した。冷食炒飯は外出自粛で減少した弁当向けでなく、増えた家庭内食で選ばれたものの筆頭格。冷食のなかでも伸長率は群を抜き、構成比トップのギョウザに一気に肉薄した。

 合わせ調味料である炒飯の素は同質化して久しいが、前期は優れた経済性で内食の高止まりを支えた。冷食の成長も食シーンは全体の2割ほどで炒飯の素を使う3割にまだ届かない(ニチレイフーズの全国1万4046人調査、20年9月)。ほか2割の手作り層、急伸する冷食層から消費を呼び込めるかが市場持続のカギを握る。

 4~6月の今期第1四半期は前年から反落して減収。回復するには冷食に優るさまざまな具材との炒め合わせ、香り立ち、栄養バランス、冷蔵庫の残り物が片付けられる機能性などが、あらためて伝えられるべきだろう。メニューは定番の焼き豚、五目のほか、チキンライスなどの洋風に加え、町中華人気のトレンドとしてニンニク人気が浮上している。炒めずに、ご飯と混ぜるだけの混ぜご飯の素も定着して形態も進化した。

 低価格販売も常態化するが、エスビー食品の新商品とともにイートアンドフーズは高単価で定着している。有名店ならではの本格感が着実に浸透。イートアンドは「えび塩炒飯の素」も今春から導入し、成熟市場の収益向上策を明示する。

 コロナ共存で内食が深まり、調理情報が求められている今こそ、商品価値とメニューを増幅する好機だろう。訴求法は当然、現代ニーズに沿うべきでトップの永谷園は今期から小学生の調理、親子体験に炒飯の素の簡単調理が最適と提案。メーンユーザーに直接訴えかけながら次代も育て、持続性を確かにする。

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