滝椎戸寒の乾物日記
本連載は、僕の仕事人生におけるテーマの一つであった「乾物乾麺市場の成長」を、現役を引退してからも問題意識から消失させないよう、自分なりに考えた問題意識持続手段、あるいは課題解決に向けた情熱維持手段です。とは言っても大げさな話ではなく、乾物乾麺に思いを寄せながら日々の生活で感じたことを気ままに言葉に残した、普段着姿の日記のようなものです。そんな私的な日記を恥ずかしげもなく皆さまにお届けするのは、自分の乾物乾麺への思いを親愛なる皆さまにも共感していただきたいと願うからです。また同時に、自分の経営経験を生かして業界の次世代を担う若い皆さんのため、少しでもお役に立ちたいと思うからです。お世話になった業界に、自分ができる限りの恩返しがしたいと思っている次第です。
(滝椎戸寒・日本アクセス元会長兼アクセス乾物乾麺市場開発研究会創始者)
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滝椎戸寒の乾物日記(30)長期投資ができる経営体質へ
総合 2023.02.27年金基金はじめ機関投資家は、投資先企業のE(環境面)、S(社会面)、G(企業統治面)の各側面を評価して投資判断をしている。いわゆるESG投資だ。一方、中小企業を中心とする未上場企業はESG投資の対象ではないが、サステナビリティへの取組みは、顧客、地域…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(29)難しい後継者問題〈下〉
総合 2023.02.06●生産性向上には「M&Aによる企業集約」が必須 渡邉さんのコラムでは後継者不在問題とは直接結びつかないが、成長戦略と生存戦略の両方を実現したM&A事例として、ナカガワという天かすトップメーカーの紹介があった。アクセスは同社と取引があるとは思うが、僕…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(28)難しい後継者問題〈上〉
総合 2023.02.01●M&Aは「生存・成長戦略」の問題解決手段 中小企業庁によると2025年には70歳以上の経営者が245万人まで増加し、約半分の127万人が後継者不在となる問題から倒産、廃業の危機に直面するらしい。そしてもし、127万社の中小企業が廃業したとすると、…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(27)藻場の再生とブルーカーボン
総合 2023.01.30●食品企業も取組み積極参加を 先日の日経に興味深い記事が載っていた。伊藤忠商事の子会社である伊藤忠エネクスが養殖ワカメのCO2を吸収貯蓄する研究を始めるという記事だった。同社はいうまでもなくガソリン屋だ。ガソリン屋と養殖ワカメという意外な関係に興味をそ…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(26)今こそ日本の乾物を世界へ 昆布編〈下〉
総合 2022.11.30●日本の海藻乾物は「SEA VEGETABLE」 前回の連載で紹介した、米国で日本食の普及に努めている女性は「アメリカ人は昆布を食べるのか?」という質問に対し「アメリカ人は昆布をほとんど食べない。昆布はSEA WEEDであってイメージが悪い」とも述…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(25)今こそ日本の乾物を世界へ 昆布編〈上〉
総合 2022.11.07●うまみ、フレンチにピッタリ 「世界へ発信!日本のうまみ」というNHK番組は、鰹節のうまみの次に、昆布のうまみを紹介している。 最初に紹介されたのは、ニューヨークの名門料理学校「カリナリー・インスティチュート・オブ・アメリカ」で2018年に開催さ…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(24)今こそ日本の乾物を世界へ 鰹節編
総合 2022.10.19●「うまみの現地化」が不可欠 NHKのBSで放送された「世界へ発信!日本のうまみ」という番組を見た人はいるだろうか? この番組は、日本の乾物が世界市場を狙うチャンス到来であることを示唆してくれている。同時に、うまみの素となる日本の乾物「鰹節、昆布、…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(23)昆布マーケティングの一考察〈4〉
総合 2022.08.24●戦略実践に空想の活用を 昆布マーケティング戦略を具体的に実践するには、見本となる戦略ストーリーが必要だろう。そこで一つの仮説を立ててみた。次の仮説は、前回提案した昆布菓子を戦略上の武器とした上で、効率的な戦略投資の考え方を基本に置いた。仮説のヒン…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(22)昆布マーケティングの一考察〈3〉
総合 2022.08.22●食文化の継承へ鍵握るZ世代 さて、僕の個人的な体験を踏まえて、いよいよ本題であるマーケティング戦略の考察に話を進めたい。考察する内容をマーケティング戦略案と戦略の実践(仮説)の二つに分けて整理する。 今回はまずマーケティング戦略案を提示する。 …続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(21)昆布マーケティングの一考察〈2〉
総合 2022.08.19●昆布食べると頭が良くなる? 前回、「乾物昆布市場が縮小しているのはマーケティング不足が原因」と指摘したが、対策としての戦略を考える前に、「市場の現状」と「業界の問題点」をあらためて整理しておこう。僕なりの判断では、それぞれ次の3点に集約されると思…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(20)昆布マーケティングの一考察〈1〉
総合 2022.08.08●昆布激減、業界存続の危機? 「昆布の年間採取量は3万t。うち1万tが乾物昆布として消費され、2万tが調味料や佃煮などの加工食品用原料として消費されている」。これが今まで、僕が把握していた昆布市場に関する知識だった。 しかし、2021年度の昆布採…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(19)大好きな海苔の話
総合 2022.07.29●旬のおいしさ、鮮度管理が不可欠 僕は海苔が大好きだ。最近のコンビニでは「海苔で巻かないおにぎり」を販売しているようだが、買うことはない。「心臓に持病がある人は葉酸をたくさんとりなさい」と誰が言ったのか忘れたが、とにかく僕は葉酸をヨーサン(拍手)摂…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(18)追悼 尾崎弘さんを偲ぶ〈下〉
総合 2022.06.22●苦境にも物怖じしない信念の人 僕はそんな尾崎さんと過ごす時間が楽しかったし、忘れられない貴重な思い出なのである。夜の思い出ばかりを話していると天国の尾崎さんからしかられそうなので、昼間の仕事に関する思い出についても語っておこう。 尾崎さんは、ど…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(17)追悼 尾崎弘さんを偲ぶ〈上〉
総合 2022.06.20●先輩に学ぶ、経営者の生きざま 暦は巡って今年も夏が来た。いつもならワクワクした気持ちで夏を迎えるのだが、今年は鎮魂の静かな夏になりそうだ。昨年の夏、僕がお世話になった数名の先輩たちが鬼籍に入られた。その一人が尾崎弘さんだ。 尾崎さんは言うまでも…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(16)不都合な真実〈4〉
総合 2022.06.10●「国民のための農政」へ蛻変望む 僕の「日本の食品安全管理」と「日本の農政」に対する不信感の根幹には、日本の食料自給率が減少したのは「食生活が変化したためというよりは、日本の農政に原因があるのではないか?」という疑念、もっと具体的に言うなら「日本の…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(15)不都合な真実〈3〉
総合 2022.06.06●日本の農業政策、世界の動きに逆行 前回述べた僕の問題意識は、大きく分けて「日本の食品安全管理」と「日本の農政」に対する二つの不信感から生じている。 最初の「日本の食品安全管理」に対して不信感を感じたのは、主として農薬に関する次の事実を知ったから…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(14)不都合な真実〈2〉
総合 2022.06.03●日本の食品安全、輸入管理の現状 EUが鰹節を輸入禁止にしている理由も解せない。 今や世界文化遺産となった和食であり、その和食にとっては必需品ともいえる鰹節ではあるが、鰹節に含まれるベンゾピレンの発がん性をEUは問題にしているのだ。鰹節を食べると…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(13)不都合な真実〈1〉
総合 2022.05.30●食品安全管理に求められること 今年の2月末、台湾が放射能汚染問題を理由にした日本の農水産物輸入禁止規制をやっと解除した。背景には国際情勢をにらんだ政治的配慮があったのかもしれない。理由はどうであれ、東北5県の農水産事業者にとっては朗報である。また…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(12)完全栄養食品を食べて思ったこと
総合 2022.04.29●ビタミン・ミネラル豊富な「乾物」の出番 完全栄養食品とは「1日に必要な栄養素の3分の1をすべてとれる食品」を意味するらしい。 完全栄養食品を代表する商品をネットで購入して食べてみた。味は抵抗なく普通に食べられたものの、正直あえて買い求めて食べた…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(11)昆虫食品を食べて思ったこと
総合 2022.04.25●食糧危機救うタンパク源で期待 アクセスから「コオロギせんべい」や「コオロギクッキー」「コオロギチョコレート」などコオロギフードを送っていただいた。早速「コオロギせんべい」を食べてみると、僕が大好きな海老せんべいによく似た味がして、意外においしかっ…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(10)スリランカ人から学んだ感謝する心〈下〉
総合 2022.04.18●「今ある幸せ」見つけて幸福に 「スリランカ人はたしかに貧しい。だけど彼らが靴を履いていないのは貧しいからではない。温暖な気候に恵まれているから靴を履く必要がない。履く必要がないから履かないのだ」「それに、食べ物だって豊かな自然に恵まれているから野…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(9)スリランカ人から学んだ感謝する心〈上〉
総合 2022.04.15●食育は知識よりも感謝の心を 僕はテレビ東京の「孤独のグルメ」が好きで毎週欠かさずに見ている。この番組は、庶民的でB級グルメ好みのおいしい店を紹介してくれるからうれしい。主人公である松重豊さんの語りも面白いし、彼が食事をする前には必ず「いただきます…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(8)アレルギーの原因は「回虫」?
総合 2022.04.04●乾物とアレルゲン 最近、自分に一体どんなアレルゲンがあるのか病院で検査をしてもらった。花粉症だから当然スギやヒノキの花粉は検出されたが、驚いたことにキウイが検出された。一方、ワイフに検出されたアレルゲンとしてごまがあった。多くの食品や料理に含まれ…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(7)パートナー見つけ需要拡大を
総合 2022.03.25●突然そばファンに 僕は若いころ、そばが嫌いだった。故郷の名古屋、愛知県はうどん文化圏であったため、そばをあまり食さなかった。うどんのツルツルしたのど越し食感に比べて、そばのモソモソした食感が好きではなかった。しかし、ある日突然そばのおいしさに気付…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(6)インフレと乾物乾麺業界〈下〉
総合 2022.03.18◇時代は「高品質×少量生産」へ ●インフレの根拠は 今日は、日本の食品原料インフレ予想を裏付ける根拠をもう少し深掘りしてみたい。大勢のエコノミストや学者さんたちがさまざまなコメントをしているが、集約すると次のようになると思われる。 (1)気候変…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(5)インフレと乾物乾麺業界〈中〉
総合 2022.03.11●持続成長へ思い切った改革を D・アトキンソン氏は、日本の生産性が長期間低く今まで伸びないのは、日本は諸外国と比べて中小企業の数が異常に多い(日本に370万社ある法人企業のうち99.9%が中小企業)からだと論じている。また、彼は1963年に制定され…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(4)インフレと乾物乾麺業界〈上〉
総合 2022.03.02◆経済政策転換影響の可能性も 「スクリューフレーション」なる言葉を初めて耳にした。中間層が貧しくなることを意味する「スクリューイング」と物価高の「インフレーション」を組み合わせた造語らしい。 つまりこの言葉は「インフレが進行すると同時に、年収の低…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(3)「勝魚節」食べて受験に勝つ
総合 2022.02.14●受験と鰹節 受験シーズン到来だ。 僕は自分の大学受験には苦い経験がある。五つの大学を受験したが、最初に受験した同志社大学を滑って落ちたのだ。試験の前日に友人と二人で京都のホテルに宿泊し、明け方まで語り合ってほぼ徹夜したことを試験に落ちた言い訳に…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(2)「節分そば」で食品ロス削減
総合 2022.02.07●節分に思うこと 某友人と節分の話をしていたら、驚くような質問を受けた。「節分では豆を自分の数だけ食べるのですか?」僕は「貴兄にも食育が必要なようだね」と答えておいたが、大人でも知らない日本の食文化を今の子どもたちが知らないことは容易に想像できる。…続きを読む
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滝椎戸寒の乾物日記(1)乾物乾麺市場の成長発展を
総合 2022.02.04本連載は、僕の仕事人生におけるテーマの一つであった「乾物乾麺市場の成長」を、現役を引退してからも問題意識から消失させないよう、自分なりに考えた問題意識持続手段、あるいは課題解決に向けた情熱維持手段です。とは言っても大げさな話ではなく、乾物乾麺に思いを…続きを読む