缶詰・瓶詰・レトルト食品特集
缶詰・瓶詰・レトルト食品特集:缶詰=サバ缶市場が急成長 廉価セールには警鐘
缶詰市場(丸缶・飲料除く、以下同)は今年も、原料事情や市場環境の激しい変動に対応している。最大カテゴリーの水産缶は、17年秋からの一大サバ缶ブームが市場拡大をけん引。原料高騰と製品値上げ、各メーカーの生産と商社を含めた輸入の増大につながっている。またカツオ原料の国際価格急落を受け各社がツナ缶の積極生産に転じている。青魚3種はこれから原料調達が本格化するが、サンマの漁獲に不透明感が漂う以外はやや楽観的。サバはアフリカ向け輸出の大幅減により価格正常化に向かうとの見方がある。
水産缶の18年の国内生産量は、前年比5.9%増の10万4410tで2年ぶりの増産となった。サバ缶は26.6%増の4万9349tで、89年前後の水準に回復。このうち水煮が40%増と、味付・味噌煮を圧倒。料理素材としての利用が西日本でも浸透している。イワシ缶も相乗効果で52.3%増の7233tと、不漁で30.9%減6732tとなったサンマ缶を逆転。同じ要因でカニ・サケ・イカ・赤貝・ホタテ各缶詰はすべて減産。イカ缶は14.4%減と過去最低を更新し、カニ缶も36.7%減と厳しい。
サバ缶は17年に売上高でツナ缶を抜き、18年には推定で市場規模が350億円を突破。これは前年比で約1.5倍の規模拡大となり空前の急成長といえる。昨年までの品薄状態から、主要メーカーは海外を中心に増産体制を整え、今春から夏場にかけて供給力を高めた。多くは国産の原料・主要調味料を現地工場に持ち込み、国内と同工程で生産する。
ただ売場では輸入品を中心に100円均一が出現し、多くのメーカーが「品質面の不満が高まれば売場は一気に荒れてしまう」などと、長期ブームに水を差す廉価セールに警鐘を鳴らす。