新春特集第1部
新春特集第1部:パッケージ最前線=コミュニケーション 企業の声、消費者へ届ける
2021年もコロナ禍の収束は見えず、食品メーカー各社は商品開発や販売促進の見直しを迫られそうだ。
その中で重要になりそうなのがパッケージコミュニケーション。「なるほど」と唸(うな)るような仕掛けや、くすっと笑えるデザインは、SNSで拡散されて話題にもなりやすい。
重要なことは、企業(ブランド)のメッセージをいかに消費者に届けられるか。昨年話題になった事例をいくつか紹介したい。
ネスレ日本は、「キットカット」のほぼすべての大袋タイプ製品の外袋を紙化した。主力商品のパッケージ素材を変更し、プラスチックごみ削減に向けた企業姿勢を具現化。消費者が折り紙や塗り絵で遊べる、紙パッケージを活用した新しいコミュニケーションを進めている。22年までに、「キットカット」全製品の包材をすべてリサイクル・リユース可能な素材にすることが目標だ。
アサヒ飲料が「放課後『カルピス』」プロジェクトで展開した「カルピスウォーター」の夏季限定デザインパッケージも話題になった。飲み終わると正面と裏面のイラストが重なり、新しいイラストが完成する仕掛けが施され、友達や恋人と過ごす高校生の甘酸っぱい青春の一こまを再現した。
また、パッケージに印刷された2次元コードから特設サイトにアクセスすると、さまざまな世代の青春の曲を聞ける仕掛けも人気だった。
明星食品が自社商品に採用した「しおケアカップ」は、消費者自らが摂取する塩分相当量を調整できる容器。カップ内側の線までスープを残した際に、摂取する食塩相当量の目安がひと目で分かるよう工夫した。消費者の健康意識の高まりに配慮し、塩分の過剰摂取抑制の意識付けを業界初のパッケージで示した。
カップに入った豆腐に醤油を掛けると、母親への感謝のメッセージが浮かび上がる男前豆腐店の「母の日とうふ」や、「竹を模した緑の竹輪を作ってほしい」という消費者の声で製造し、大ヒット漫画「鬼滅の刃」キャラクターのコスプレに使えると人気を博したスギヨの「緑の竹輪」もSNSなどで話題になった。
原材料変更を理由に、三島食品が「青のり」の商品名を「あおのり」に、パッケージを青色から緑色に変更したことも話題になった。また、パッケージの裏面に書かれたメッセージに心を動かされた人は少なくなく、「正直であること」の大切さをあらためて考えさせられた。