缶詰・瓶詰・レトルト食品特集

缶詰・瓶詰・レトルト食品特集:缶詰=備蓄から家飲みへ 畜肉好調で市場急拡大

缶詰 特集 2020.09.18 12116号 07面

 缶詰市場(丸缶・飲料除く、以下同)は今年、新型コロナによる消費の大変動に直面した。巣ごもり需要といわれた3~4月はそのピークで、買いだめによる受注急増が全てのカテゴリーで発生。缶詰全体で2ヵ月間の累計売上高が前年比25%増と急伸した。5月連休明けから市場の過熱は沈静化し、反動減も生じたが、家庭での食事機会増加を背景に7月以降は備蓄から家飲みのつまみ、料理素材へ需要がシフト。特に畜肉缶は好調な売れ行きが続いている。

 数年来、業界は原料事情や自然災害など環境の激しい変化にさらされてきた。だが想定外の新型感染症のまん延で、缶詰の簡便・即食といった備蓄以外の利便性があらためて評価された格好だ。“オンライン飲み会”“おうちキャンプ”といった新たな食シーンが生まれたことも追い風とみられる。

 最大カテゴリーの水産缶は、17年秋からの一大サバ缶ブームが19年秋を境に一服したが、コロナ禍でサバ缶にイワシ缶・サンマ缶を加えた青魚缶が、ピーク時の4月単月に前年比3割近い売上げ増を記録した。5月からは反動減が顕著となり、6月には苦戦したが7月から回復基調にある。ツナ缶も3~4月は2割超の販売増で、8月から再び需要が上向いて同2桁の伸びで推移した。

 畜肉缶・果実デザート缶・野菜缶もピーク後に好調を保っている。市場規模は水産缶に遠く及ばないが、畜肉缶は1~8月累計売上高が前年比3割超と急伸。増加した家飲みのつまみ需要が集中し、市場が一気に拡大している。

 果実デザート缶も同2割増、コーンやトマト中心の野菜缶も15%増と好調だ。コロナからの回復が見通せない中で今後、これら拡大カテゴリーでの商品提案が加速する可能性がある。(本宮康博)

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