ふりかけ・お茶漬け特集
ふりかけ・お茶漬け特集:お茶漬け 消費増大で真価発揮
●食欲増進効果、市場継続に光明
お茶漬け市場は前期、ふりかけ同様に期末の需要増を受け、ご飯食が進む真価を発揮している。新型コロナを防ぐ巣ごもり志向が深まり、主食のコメ購買と備蓄が加速。お茶漬けはふりかけ以上の消費の伸びを見せ、食欲が無くてもさらさら食べられる、増進効果が脚光を浴びた。停滞が続いていた市場継続に希望が感じられ、独自の食文化の継承にも弾みがつきそうだ。
お茶漬けは前期、需要期に悪天候が続いて2月まで縮小していた。冷夏になって酷暑の食欲増進を求める向きが減り、最盛期の年末年始が暖冬。買い置き消費や加温への期待が減退した。前年伸ばした反動もあって前年比4%減と例年以上の下げ幅で推移。一気に底上げしたのが2月からの内食拡大だ。
市場はトップメーカーの永谷園がシェア9割弱。パイオニアであり、トップブランドの「お茶づけ海苔」は圧倒的な認知度を誇り、緊急時の安心感も手伝って、休校要請のあった2月末から大幅増収。続く「さけ」「梅干茶づけ」ともに急激に伸長。市場全体を前年実績並みまで押し上げたとみられる。
特に4月の緊急事態宣言の発令後は、永谷園の日々の出荷が倍増近くにまで及んだ。欠品や原料ひっ迫を抑えながら供給。3月下旬から在京社員の自宅待機を推進し、管理部門は社会目標を超える2割まで出社率を下げた。感染防止を徹底して安定生産を続けている。
ふりかけに市場規模は劣るものの、特需での伸長率は凌駕(りょうが)する。湯漬けしたコメは万人が咀嚼(そしゃく)しやすい。毎日食べられる程よい味わいが、増えたご飯食で活躍している。
もともと小中学生の朝が食シーンとして多く、即食・簡便・食欲喚起といった機能性が浸透。抹茶と海苔、あられ、食塩といったシンプルな原料は日本人なら誰でも慣れ、親しみやすい。市場は長く漸減し、実際には小児や若年層の消費停滞に危機感もあった。生活防衛の意識が高まり、普遍的な真価の再評価が進んだ。
商品別では永谷園「鯛だし茶づけ」のヒット、追随する大森屋の高級化など新たなトレンドも見られる。緑茶とだしでご飯を食べる和食文化が色濃いメニューだけに、インバウンドの伸びしろも残している。