中部流通特集

小売 2021.03.27

 2021年は、前年に続きコロナ禍という前例のない状況下の中で幕が開け、2~3月に多くの小売業が決算期を迎える。
 今年度の業績は、コロナ禍の消費行動の変化で、業態間で大きくバラツキが出た。表は業態別に2019年10月~21年1月まで、月ごとに売上げ推移(前年比)を示したもので、コロナの影響が出始めた20年2月から一気に様相が変わった。
 スーパーは同月から巣ごもり需要効果で全月通して約5%以上プラスに働き、「生活インフラとしての使命を再認識した」(ヤマナカ中野義久社長)と話すように、あらためて災害時を含めた緊急時に生活者に必要不可欠な業態であることを如実に示した。
 百貨店は地域の象徴的存在としてその推移は、地域経済そのものを表す存在でもあるが、緊急事態宣言下での休業は仕方なく、そのまま業績に表れた。
 コンビニエンスストアは、新しい生活様式下での在宅勤務制度がマイナスに働き、特に都市部は出勤時の昼食需要が大きく減少。在宅時での昼食需要は、出勤時と同じようにコンビニ弁当に移行することは少なく、新たな食シーンを見据えた商品開発が急務となった。
 ドラッグストアも巣ごもり需要で食品中心に売上げが伸長した。ただ、新生活様式下でのマスク着用により、カゼをひかなくなった、化粧をしなくなった–などの生活者の変化があり、これまで利益を稼ぐカテゴリーだった化粧品やかぜ薬の売上げが鈍化した。それでも引き続き新規出店は旺盛で、業態として伸長している。
 ホームセンターもコロナ禍がプラスに働いた業態で、生活者の休日の観光や娯楽需要が変化し、家庭での園芸や家族だけのキャンプなどの需要を取り込み順調に推移している。