マヨネーズ・ドレッシング特集
マヨネーズ・ドレッシング特集:マヨネーズ動向=規模拡大で“前年超え”
●サラダ周り死守で大幅増も
家庭用マヨネーズ(一部フィリング含む)は19年、前年比約4%増の560億円(本紙推定・市場規模)で着地し、久しぶりの“明確な前年超え”を果たした。生産量は同協会調べではレギュラータイプが同2%増の22万5239t、カロリーオフなど健康訴求タイプが同2.6%減の6万1392t。万能調味料としての料理用途は依然着実に拡大、消費量ベースでは約半分が相当すると推定される。
レギュラータイプは生産量ベースでは同2%増だが、実需を含めた市場規模はそれ以上に伸長したとみられる。原料である食用油の健康的価値への注目に加え、低糖質性も見直され、従来までネックであったマヨネーズ摂取そのものに対する誤った“罪悪感”がある程度払拭(ふっしょく)された点も大きい。また、最大手・キユーピーの創業100周年に伴う情報発信や露出増も市場拡大に機能。長く微減から前年並みが続いていた同市場を後押しした。
注目の万能調味料提案は、「炒め」「焼き」などの料理用途に加え、「膨らます」「(漬け込んで)軟らかくする」などの用途も着実に拡大。脱・野菜専用調味料として裾野を拡大させ、今後の伸びしろも十分だ。
健康訴求タイプはドレッシングでのノンオイルと同様、レギュラーへのスイッチ化やカロリーを判断基準とする購入心理の減退などにより縮小したが、品位改良とジャンルの多岐化が依然進んでいる。近年では「キユーピーハーフ」「同 ライト」「ピュアセレクト コクうま」などが改良に成功。機能性表示食品やトクホも網羅し、おいしさを担保しながら多様化する健康ニーズに対応している。
20年は野菜相場や19年の反動が危惧されるも、まずは伸びしろの多い万能調味料提案に注目したい。キユーピーは通期で提案を加速する考えで、2年連続での“明確な前年超え”のカギを握る。高齢化や有職主婦の増加、単身世帯の増加などを背景に調理の時短化ニーズが加速する中、極めて有望な拡大施策に位置付けられる。
また5月に予定される味の素社「ピュアセレクト」基幹品の東京五輪限定パッケージ品は、19年のキユーピー100周年に続き露出増につながる可能性が高く、注目したい。さらには日清オイリオグループの卵不使用品「日清マヨドレ」、日本製粉のアマニ油マヨネーズ、地場企業のこだわり系マヨネーズなど差別性の強い商品も健在。競争激化の進むサラダ周りを“死守”することができれば、大幅増も視野に入るだろう。