チョコレート特集

◆チョコレート特集:インバウンド需要喪失も国内では活発化

菓子 特集 2021.11.12 12322号 09面

 ●巣ごもり受け大袋品が大幅伸長

 全日本菓子協会が公表している2020年のチョコレートの生産数量は、前年比2.1%減の24万3870t、生産金額は3870億円で同2.8%減、小売金額は5470億円で同2.8%減となった。ただ、生産・小売金額の2.8%の減少は、コロナ禍で訪日外国人数が87.1%減となったことで、菓子のインバウンド需要の大部分が消失したことの影響を受けた。19年の訪日外国人の菓子購入金額は約1705億円で、この中でチョコレートが占める割合は大きいことから、生産・小売金額の減少につながった。インバウンドを除く国内市場規模は、巣ごもり需要の増加を背景に、大袋商品が大幅伸長したことで、同3%増と好調に推移したものとみられる。

 一方、コロナ禍による、生活行動の変化で、スーパーでの販売が好調に推移した一方、コンビニエンスストアでの販売は「小袋商品」を中心に低調に推移した。さらに、コロナ禍で健康意識がさらに高まり、健康志向のチョコの需要も増加した。「ステイホーム」の長期化で、手作り需要が増加し、近年市場に勢いがなかった、板チョコのニーズも高まった。

 21年の市場も堅調に推移している。明治の今期第1四半期のチョコの実績は、増収で推移。ロッテも上期は前年比2%増を堅調。森永製菓、不二家、ブルボン、名糖産業、フルタ製菓も増収。ギンビス、六甲バター、高岡食品工業は2桁増と大幅増収を達成した。

 秋冬期新商品は、2年目のコロナ禍の中、メーカー各社は大型の新商品投入は控え、ロングセラーブランドとその派生商品を中心に展開。コロナ禍を経て変化した生活者の意識や消費行動を踏まえ、「健康」「おうち時間・イエナカ」「プレミアム」「大袋」などのキーワードを既存ブランドに落とし込んだ取組みを実施。天候要因に左右されることが多いチョコの秋冬需要だが、21年は8月のお盆過ぎ以降、例年に比べ気温が低くなっており、菓子の需要は活発化している。(青柳英明)

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