全国外食産業・業務用卸特集

コメ・もち・穀類 2019.08.17
全国外食産業・業務用卸特集

 ◇求められる「時短・簡便」「非日常空間の提供」  「生鮮強化」が差別化のキーワード
 国際的なスポーツイベントが2年連続で、国内で開催される。まさしく「4年に一度ではない。一生に一度だ」というフレーズ通りの2年間になる。世界的にも日本、東京に耳目が集まるだろう。
 2013年9月に、20年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まった時は、20年までは「好景気が続く」と期待されたが、翌14年4月の8%への消費増税により、消費は失速。それ以降、実感の伴わない経済成長が続いた。
 その中で、消費の下支え役を担ったのがインバウンド需要だ。18年のインバウンド人口は3000万人、19年は3500万人、20年は4000万人が見込まれている。9月に開催されるラグビーW杯は、欧米豪のラグジュアリーな層が観戦に訪れる見込みで、観光立国を目指す日本にとってはアジア圏以外の観光客増のための大切な試金石となる。大会の盛り上がりにより消費の浮揚を期待したいところだが、期間中には、10%への消費増税があり、景気の中折れ、もしくはさらなる冷え込みが懸念される。また、外交問題からインバウンド人口の約24%を占める韓国の訪日観光客が大きく減少すると期待のインバウンド需要も大きな痛手だ。
 1964年の東京オリンピック開催時と2020年の東京オリンピック・パラリンピックとは社会環境が大きく異なる。64年は生活者にとって、欲しいモノがたくさんあった時代で、需要が供給を上回る伸びでモノの価値が認められていた。だが、今はモノが有り余り、欲しいモノが無い時代だ。需要が供給を下回り、モノの価値を計る指標が多岐多様化し、一概に答えが出なくなった。そんな中で、どのように消費を喚起していくかが大きな課題だ。その一つがコト消費であったが、最近では時間をお金で買う、お金より時間がもったいないという「時間消費」を重視する層が増えている。しかし、時間消費は非日常の空間を楽しむという意味もある。業務用食品は時短・簡便を提供し、外食産業は非日常な空間を提供するといった図式が求められる。