デザート特集

菓子 2020.04.27
デザート特集

 19年度(19年4月~20年3月)のデザート市場のうち、手作り風フレッシュデザートを除く大量生産のゼリー・プリン類は、ほぼ前年並みを維持しているとみられる。19年度は夏場の天候不順やカテゴリー内競争の激化など、常温ゼリー類は上期に影響を受けたものの、下期は暖冬傾向などの追い風要因もあった。チルドゼリー・プリン類全体は前年より若干下振れたとみられるが、中でもチルドゼリー類でコーヒーゼリーやアジアンデザートの好調が目立った。20年2月以降は新型コロナウイルスの影響による一斉休校やリモートワークの増加などに関連する「巣ごもり消費」の傾向もあり、購入率の押し上げが見られている。ただし冷凍デザートは、主戦場であるホテルや学校給食などがマイナス影響を大きく受け、若干潮目が変わってきていることも注視される。
 市場全体は近年「底堅さ」が続いているが、一方で起爆剤となるようなヒット商品が待望されていることも事実。新たな需要を創出する付加価値の高い商品の安定供給と喫食機会の創出が、活性化の鍵を握ると考えられる。20年度は、ゼリー・プリン類で各社新たな商品投入や食べ方提案を加速。これまで市場になかった素材を使用したり、喫食シーンを増やすためのレシピを提案したりするなど、ゼリー・プリン類の楽しみ方の幅を広げる施策が目立っている。冷凍デザート類も新型コロナウイルスの収束後をにらみ、オペレーションの簡略化など、昨今の現場課題の解決策を提案し攻勢をかける方針だ。
 デザート分野は多岐にわたるため、ここでは加工食品メーカーがNB品として大量生産する家庭用の常温品・チルド品と、外食・給食分野などを含む冷凍デザートの動向を中心に、近況と今後の展望をまとめた。(小澤弘教)