食品の環境負荷を5段階でランク付け フランスの「エコスコア」に注目

世界中で食品の環境影響への関心が急速に高まっている。しかしながら、個々の製品が実際にどの程度、地球環境に影響を及ぼしているかを消費者が把握することは難しい。「環境に配慮した商品ですか?」と店員にたずねずとも一般の消費者が各食品の環境負荷を認識できるよう、パッケージに可視化しようとする流れがフランスを含め欧州で強まっている。

生産・加工・輸送などの環境への影響を評価

食品の環境負荷を評価するツール「Eco-Score(エコスコア)」が1月にフランスで発表された。これはフランスの食品関連のIT企業や市民団体が共同で作成した自主規格だ。

Open Food Factsアプリの画面

世界中の食品を掲載しているオンラインデータベース「Open Food Facts」のアプリで製品のバーコードをスキャンすると、栄養指標のニュートリスコア、加工度を示すNOVAスコアとともにエコスコアを確認できる。

エコスコアは、それぞれの食品が農業・加工・包装・製品の輸送などの段階で環境に与える影響を考慮し、CO2排出量や生態系への影響など16の環境基準に基づいてA(緑)、B(黄緑)、C(黄)、D(オレンジ)、E(赤)の5段階でランク付けする。

参照サイト:
Presentation Eco score

スーパーマーケットでも導入

フランスの大手スーパーマーケットCarrefour社は、自社ECサイトにおいてエコスコアの表示を行うことを発表した。消費者からのフィードバックなどを分析することで、スコアの計算方法改善の可能性も探るようだ。

Carrefour社のECサイト

また、世界中に約8000店舗を展開し、フランスにも多くの店舗を持つディスカウントスーパーマーケットLidl社も同様に、ベルギーの店舗でエコスコアのテストを開始すると発表している。

食品の環境スコアリングが欧州で加速

前述の民間主導のエコスコアとは別に、フランスでは政府による環境ラベルの計画もある。同様の取組みは欧州各地でも進んでいる。

欧州各地で進む環境ラベル

例えば、世界的食品大手のネスレとタイソンフーズは、スーパーマーケットや専門家とともに新しい非営利団体「Foundation Earth」を結成。欧州全土で消費者の持続可能な食品選択を可能にすることを目的に、今秋よりパイロットプログラムを開始した。英国とEU全体で2022年秋までにA+からG評価までの「環境スコア」を食品ラベルに記載するプロジェクトを進めている。

また、WWFなど16のNGO等も環境影響に加えてアニマルウェルフェア(動物福祉)も視野に入れた「Planet Score」を検討している。

アニマルウェルフェアも視野に入れた「Planet Score」

参照サイト:
Foundation Earth Environmental Scores
Futur affichage environnemental français le Planet-Score ! | CIWF France

各製品の環境への影響を科学的にランク付けし、エコラベルをパッケージ前面やECサイトに表示することによって、一般消費者が自然とエシカル消費の方向へ向かうことが期待されている。

欧州各国で、政府だけでなく多くの民間企業・団体が専門家と連携し、システム構築を進めている。(在フランス管理栄養士ライター 高城紗織)