ふりかけ・お茶漬け特集

ふりかけ・お茶漬け特集:ふりかけ 行楽戻らず連続縮小傾向

水産加工 2021.08.25 12281号 07面

 ●定番と大人、汎用の新潮流

 ふりかけ市場は今期4~7月、前年比2%減で推移しているとみられ、前年からの縮小傾向を続けている。前年同期はコロナ特需のピークだった4月を含み、反落に陥った。半面、店頭などでの販促活動が再開し、定番品や大人向け、汎用(はんよう)商材といった新様式の成長カテゴリーも顕在化した。拡販と開発が自粛された昨年からの反動もあり、新商品数は例年以上。下期での市場、業績回復を目指して販売競争が活況を呈している。

 今上期は前年の拡大から反動減。ただし、ふりかけの主要は食卓のご飯、おむすびなどの弁当用に二分され、前上期は弁当消費が蒸発。全国的な休校、初回の緊急事態宣言による、外出自粛が影響して、上期通しての伸び率はわずかだった。それでも備蓄需要を中心に昨年2~4月の店頭販売は順調。今期の反落は致し方ない。

 弁当需要は中高生の学校生活が再開し、地方は在宅勤務が少なく、外食を避ける向きもあって着実に回復している。一向に回復の兆しが見られない行楽需要が2期連続の縮小要因。外食不況も続いているが、ふりかけの業務用構成比は10分の1ほどとみられて少ない。大部分が給食向けで学校中心に着実に取り戻している。

 カテゴリー別に見るとシェア4割強と主力の大袋直詰めは堅調。トップブランドである丸美屋食品工業の「のりたま」、続く三島食品の「ゆかり」は昨年、それぞれ発売60周年、50年を迎えて販促を強化した。反動が当然視される中、今期は「のりたま」微減、「ゆかり」増収と健闘。丸美屋食品工業は限定品などの展開強化、三島食品は「ひろし」のヒットが奏功した。

 広島菜の「ひろし」は品質でも支持されて「ゆかり」「かおり」「あかり」「うめこ」5アイテムでの展開、成長につなげている。ふりかけの乾物本来の価値である、乾燥具材の再現性、味わいに優れて、内食増の大人需要も得たとみられる。丸美屋食品工業も「海苔わさび」「梅かつお」といった大人向けの素材系アイテムが好調。ターゲットを明示する、永谷園の「おとなのふりかけ」も順調で、素材感のある商材は苦境の混ぜご飯でも気を吐いている。

 最近は売場の近い乾物コーナーで韓国海苔など、もみ海苔タイプがヒット。海苔は相場高と値上げが続いて、希少感も向上。葉酸など健康栄養成分が豊富、うまみも豊かといった本来の価値が再評価され、ふりかけの素材人気にもつながっている。

 増えた献立作りが敬遠され、調理疲れも喧伝されて汎用・簡便調味料が再成長。ふりかけの汎用性も注目されている。大森屋の新商品である「パリパリわかめ兄弟(兄妹)」売上げが半年で1億円超。素材感を高めて冷や奴や叩きキュウリにも合い、大人のこだわりニーズもとらえた。既存「カリカリ梅」もアレンジレシピのシズル画像を入れて増収。新様式の昼食増に応じ、永谷園の「ゆず胡椒」といった調味料アイテムも好調だった。

 構成比2割の混ぜご飯、1割のソフトは主用途の弁当、おむすび減が響いて縮小。市場全体の規模減を招いた。ただし、カテゴリートップの丸美屋食品工業「混ぜ込みわかめ」は回復して増収するなど、復調は着実に見て取れる。弁当向きの永谷園の「おとなのふりかけミニ」も伸ばし、衛生的で適量と個包装の価値が評価された。ほかキャラクターは丸美屋食品工業の「鬼滅の刃」の一人勝ち。

 上期は三島食品の「ひろし」以外は話題性を欠いた感もあるが、下期も新商品やリニューアル品の開発意欲は旺盛。トップの丸美屋食品工業は「ソフト」の復権を目指して包装を改良。定番化して久しいが、経験率はまだ5割と伸びしろにする。消費トレンドの素材、ぜいたくを新パッケージで強調する。パイオニアとみられるにんべんも商品を刷新。具材感といった強みを伝えて再成長を促す。

 新奇性ではニチフリ食品の「韓国グルメふりかけスンドゥブ味」「プルコギ味」が目立つ。ありそうでなかった韓国の定番メニューを商品化。フタバの元祖考案者を冠した「YOSHIMARU」ブランドの立ち上げ、大盛食品のおから訴求も珍しく、健康志向の深まりもとらえる。既存強化では三島食品が同社らしい、つい話題にしたくなる「炊き込みわかめ」の51周年企画を推進。永谷園はお茶漬け人気を成功例に「わさびふりかけ」の展開を強化する。

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