第54回食品産業功労賞

◆第54回食品産業功労賞:特別1・生産8・技術2・流通3・外食2氏に

総合 2021.11.04 12318号 01面

 ◇業界発展に大きく貢献

 日本食糧新聞社制定・農林水産省後援による第54回(令和3年度)食品産業功労賞は4日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で贈呈式が開催される。今回は特別功労賞1氏、生産部門8氏、技術部門2氏、流通・情報部門3氏、外食部門2氏に贈られる。賞は1967年(昭和42)年、日本食糧新聞創刊25周年を記念して、わが国の食品産業の発展と隆盛に大きく貢献し、偉大な功績を残してきた功労者の顕彰を目的に制定した。これまで生産部門で334人、技術部門102人、流通・情報部門で185人、外食部門で32人のほか、特別功労賞18人の671人が受賞した。歴代の農林水産大臣をはじめ、食品・酒類・流通といった各業界、関連する政・官・学から約200人が参加し、受賞者をたたえる。(吉岡勇樹)

 〈特別功労賞〉

 ●村上秀徳氏(むらかみ・ひでのり)

 食品産業センター前理事長=1951年4月4日生まれ、熊本県出身。

 農林水産省退職後、在チリ日本国特命全権大使などを経て、2015年6月食品産業センター理事長に就任。食品産業界が抱える課題の一つである食品表示では、食品メーカーが計画的に対応できるよう見直しのルール化を要請、行政への働き掛けで貢献した。21年6月に退任、現在は食品流通等合理化促進機構の会長。同年4月には瑞宝重光章を受章した。

 〈生産部門〉

 ●伊藤雄夫氏(いとう・たけお)

 イトウ製菓代表取締役会長=1952年9月14日生まれ、東京都出身。

 ビスケット専業メーカーとして焼き菓子の新たな可能性に挑戦。卓越した技術力を活用した海外展開も実行した。2017年に全国ビスケット協会会長に就任。ビスケット業界が直面する原材料の内外価格差が解消されない中、日欧経済連携協定が発効されたことによるビスケットの輸入関税の段階的引き下げ・撤廃などの課題に対し、リーダーシップを発揮して対応した。

 ●大沼一彦氏(おおぬま・かずひこ)

 日東ベスト代表取締役会長=1951年5月25日生まれ、山形県出身。

 生産畑一筋。攻めの設備投資で成長拡大に貢献してきた。天童工場長時代は将来性のあるデザートに着目し、新ライン導入。これが現在の「フレンズスイーツ」につながり、「同ミール」とともにアレルゲン対応工場で生産する主力品に成長している。山形工場の新設では、生産効率向上などにも貢献。学校給食用食品メーカー協会会長を歴任し、学校給食の普及にも尽力した。

 ●木下紀夫氏(きのした・のりお)

 シマダヤ代表取締役社長=1954年5月19日生まれ、東京都出身。

 28歳で大宮営業所長、生産本部長など各部門で活躍し、その豊富な経験と実績が買われてトップに抜てきされた。社長就任後は社員教育や営業力の強化に取り組む一方、「流水麺」の拡大や「健美麺」の投入など、チルド麺や冷凍麺で常に時代のニーズを先取りした提案を行い、市場の価値向上に尽力している。

 ●小路明善氏(こうじ・あきよし)

 アサヒグループホールディングス(GHD)取締役会長兼取締役会議長=1951年11月8日生まれ。

 「スーパードライ」のブランド資産を最大化したほか、ウイスキーやワインなどの市場を拡大させた。アサヒGHD社長としては30年ぶりにグループの経営理念を一新した。海外企業の巨額M&A(合併・買収)を成功させ、グローバル展開を加速。2兆円超の収益を上げ、ビール企業として世界3位の規模に押し上げた。

 ●殿村育生氏(とのむら・いくお)

 カステラ本家福砂屋代表取締役社長=1951年8月10日生まれ、長崎県出身。

 長崎カステラの本家として、創業397年の歴史を刻んでいる。第16代当主として古来から伝わる「手わざ」を継承、育成し、カステラ文化の創造、普及、発展に力を注いでいる。

 一人の職人が卵の手割り、泡立て、混合、攪拌(かくはん)、焼き上げの最後まで仕上げる「一人一貫主義」を貫いている。

 ●永谷栄一郎氏(ながたに・えいいちろう)

 永谷園ホールディングス代表取締役会長=1954年8月26日生まれ、東京都出身。

 新たな顧客価値の提案、市場創出に先駆けてきた。

 「チャーハンの素」「おとなのふりかけ」といったトップブランドを開発し、従来なかった品質でヒットして、業界をけん引している。

 「ただいまお茶づけ中」のTVCMを投下するなど、基幹商品の若年消費を喚起してきた。

 今も開発力を深め、企業理念の「味ひとすじ」を体現する。

 ●藤井幸一氏(ふじい・こういち)

 サンマルコ食品代表取締役社長=1950年7月13日生まれ、北海道出身。

 74年法政大学社会学部を卒業後、北海道ガス勤務を経て93年にサンマルコ食品入社、2002年代表取締役社長に就任した。

 同社の原点は1980年に発売して大ヒットした「北海道の味 男爵コロッケ」。北海道の農産原料を使い、原料調達から製造、出荷に至る一貫体制を構築、冷凍コロッケの製造・販売では全国トップクラスに成長した。日本冷凍食品協会副会長、北海道冷凍食品協会会長などの要職を務めている。

 ●吉田康氏(よしだ・やすし)

 ブルボン代表取締役社長=1955年5月24日生まれ、広島県出身。

 菓子事業で、ビスケット国内トップの地位を確立した。

 飲料、食品、アイスクリームなど多層多様な事業にも挑戦している。ロングセラーの基幹商品「ルマンド」ブランドや「プチ」シリーズなどの開発を手掛け、ヒット商品に育てた。

 社外では全国ビスケット協会副会長、健康ビジネス協議会会長など、多くの要職を歴任。業界全体の発展や、地域社会への貢献にも尽力している。

 〈技術部門〉

 ●郡昭夫氏(こおり・あきお)

 ADEKA相談役=1948年12月21日生まれ、福岡県出身。

 加工油脂大手として世界トップ級の技術力を駆使し、豊かな食生活に尽力した。事業拡大に向けて高い経営手腕を発揮したほか、グループ経営強化やコア技術深耕も進めた。円安や原料高騰、コスト増の影響を受ける中、多数の高機能マーガリン・加工油脂製品を世に送り出し、製パン・製菓市場の活性化に尽力。海外へも積極進出し、技術優位な製品群で高い競争力を示した。

 ●築野富美氏(つの・ふみ)

 築野食品工業代表取締役社長=1955年7月31日生まれ、和歌山県出身。

 同社社長として、こめ油の普及一筋に努めてきた。米ぬかの高度有効利用も推進し、多様な食品・医薬品・化粧品原料や化学品などを開発。人々の健康と美容、環境など幅広い分野での貢献は大きい。一方、廃棄物である米ぬかを活用する事業そのものがSDGsを体現するとともに品質・環境・安全を最優先する企業姿勢もあり、目標に沿った事業活動を推進し、さらなる貢献に向け尽力している。

 〈流通・情報部門〉

 ●加藤徹氏(かとう・とおる)

 万代リテールホールディングス代表取締役社長、万代油脂工業代表取締役社長=1949年9月29日生まれ、大阪府出身。

 5代目社長としてさらなる躍進という目標を掲げ、革新を旗印とした取組みを次々と立ち上げた。

 2005年、万代3ヵ年経営計画をスタートし、「日本一、買い物に行きたい店舗」「日本一、働き甲斐のある会社」という、2大ビジョンを策定した。

 16年に売上高3000億円を達成。近畿2府3県へ店舗展開するリージョナルチェーンに育て上げた。

 ●田中正昭氏(たなか・まさあき)

 日本酒類販売代表取締役社長=1951年5月31日生まれ、東京都出身。

 日本酒類販売グループ全体の業務作業を刷新し、業務効率化・コスト削減を進めた。

 部門横断の直轄プロジェクト「業務改善戦略委員会」を立ち上げ、7年間にわたり、物流改革などさまざまな課題解決に取り組んだ。

 新型コロナウイルス流行以前から、テレワーク勤務の導入や女性社員のモチベーションを高める働き方改革なども推進し、働きがいや生産性の向上につなげた。

 ●堀内達生氏(ほりうち・たつお)

 ファーマインド代表取締役社長=1951年3月16日生まれ、東京都出身。

 青果物の全国規模コールドチェーンを日本でいち早く構築し、果物・野菜の鮮度キープ輸送を実現した。

 全国14拠点の加工センターと国内外を結ぶ物流網を軸に、生産から調達、加工、マーケティング、販売まで幅広い機能を有す「青果流通総合プラットフォーム」を展開している。

 企業理念は、「生産者と消費者を繋ぐ」。青果流通DX、農業振興、食育も強力に推進する。

 〈外食部門〉

 ●妹川英俊氏(いもかわ・ひでとし)

 わらべや日洋ホールディングス会長=1948年11月28日生まれ、福岡県出身。

 72年日洋産業(現わらべや日洋ホールディングス)入社以来、約半世紀にわたり、CVS向け弁当、おにぎり、惣菜などを提供する中食業界のリーディングカンパニーで中食10兆円市場に貢献。また、中食産業の慢性的人手不足においては2019年に発足した外国人食品産業技能評価機構の初代理事長に就任し、中食業界での外国人労働者の試験機関の強化に寄与している。

 ●佐伯保信氏(さえき・やすのぶ)

 大起水産代表取締役会長=1944年8月12日生まれ、愛媛県出身。

 大起水産を75年に設立し、業界に先駆けて産地直送魚販売を80年に開始する。国内外で独自の仕入れルートを開拓しながら、生・本マグロ解体ショー付きの物販・飲食併設店舗モデルの構築にも成功した。近年は、持ち帰り専門店の積極出店や冷凍寿司開発で利便性も追求し、魚の価値を高める販売方法や商品開発、産地支援で日本魚食文化の醸成に貢献した。

 ◆第54回食品産業功労賞受賞者名(部門別・五十音順・受賞理由)

 〈特別功労賞〉

 ●村上秀徳氏(食品産業センター前理事長)

 ▽食品産業担う業界と産業全体連携や近代化推進貢献

 ▽加工食品の安全管理、技術指導、情報提供推進貢献

 ▽業界が抱える諸課題に行政・業界との橋渡し役貢献

 〈生産部門〉

 ●伊藤雄夫氏(イトウ製菓代表取締役会長)

 ▽クッキー・ビスケット産業の近代化と発展推進貢献

 ▽日欧EPA等貿易協定対策等指揮、業界調和貢献

 ▽業界全国団体等組織運営、調和と普及発展へ貢献

 ●大沼一彦氏(日東ベスト代表取締役会長)

 ▽学校給食向けアレルゲン対応食品拡充の先駆的貢献

 ▽業務用特化の冷食、レトルト、チルド等の普及貢献

 ▽雇用、職場環境、介護食等開発、地域活性化等貢献

 ●木下紀夫氏(シマダヤ代表取締役社長)

 ▽製麺業界初のチルド麺・冷凍麺開発等業界発展貢献

 ▽チルド・冷凍麺の高品質化推進、チルド物流構築等機能性貢献

 ▽業界全国団体等組織運営、麺類業界発展への貢献

 ●小路明善氏(アサヒグループホールディングス取締役会長兼取締役会議長)

 ▽酒類・飲料・食品の事業成長基盤、拡大推進貢献

 ▽日本、欧州、豪州等三極グローバル構築基盤貢献

 ▽グループ全体グローバル化、高付加価値化推進貢献

 ●殿村育生氏(カステラ本家福砂屋代表取締役社長)

 ▽創業1624年以来、長崎カステラの老舗伝統継続貢献

 ▽伝統維持、意識改革、健康企業へ挑戦等斬新貢献

 ▽長崎県「健康経営推進企業」「ベストプラクティス企業」に認定、職場環境改善貢献

 ●永谷栄一郎氏(永谷園ホールディングス代表取締役会長)

 ▽お茶づけ海苔・味噌汁等開発商品の継続普及発展貢献

 ▽ふりかけ、即席スープ類等生活者ニーズ先取開発貢献

 ▽業界全国団体等組織運営、新カテゴリー開発拡大貢献

 ●藤井幸一氏(サンマルコ食品代表取締役社長)

 ▽北海道産農産物活用の冷食メーカー推進発展貢献

 ▽変化と客ニーズに寄添う商品開発、地域活性化貢献

 ▽全国業界団体等組織運営、冷食コロッケ等育成貢献

 ●吉田康氏(ブルボン代表取締役社長)

 ▽菓子、飲料、食品、冷菓等多層多様な事業挑戦貢献

 ▽ルマンドブランドやプチシリーズ等ヒット商品開発貢献

 ▽業界全国団体、地域社会貢献団体等推進実績貢献

 〈技術部門〉

 ●郡昭夫氏(ADEKA相談役)

 ▽世界トップ級の技術力駆使で豊かな食生活普及貢献

 ▽世界市場で技術優位な製品群で競争力維持継続貢献

 ▽業界全国団体組織運営等通じ加工油脂等高度化貢献

 ●築野富美氏(築野食品工業代表取締役社長)

 ▽こめ油、米ぬか由来ケミカル製品のグローバル展開貢献

 ▽健康と美のシンボル素材の可能性応用取組展開貢献

 ▽働きやすい女性職場づくり、地域社会交流等挑戦貢献

 〈流通・情報部門〉

 ●加藤徹氏(万代前代表取締役社長/万代油脂工業代表取締役社長)

 ▽関西圏シェアトップクラスのSM。社会性、地域性信頼貢献

 ▽日本一買い物に行きたい店等ビジョン標榜実績貢献

 ▽万代基金等設立、児童養護障害者施設等活用推進貢献

 ●田中正昭氏(日本酒類販売代表取締役社長)

 ▽酒類食品専業卸、幅広いニーズ、ノウハウ確立貢献

 ▽変わる小売業変化にIT、物流、多様化対応挑戦貢献

 ▽酒文化担い手としてストロングカンパニー行動貢献

 ●堀内達生氏(ファーマインド代表取締役社長)

 ▽わが国初、青果物コールドチェーン確立先駆者貢献

 ▽バナナ色づけ加工、最新鋭青果物流技術革新提供貢献

 ▽野菜果物の摂取推進食育活動、5 A DAY支援貢献

 〈外食部門〉

 ●妹川英俊氏(わらべや日洋ホールディングス会長)

 ▽惣菜中食10兆円以上の成長基盤を実践構築貢献

 ▽セブンイレブン連携等通じ日本惣菜産業価値向上貢献

 ▽中食業界における外国人労働者の試験機関の強化貢献

 ●佐伯保信氏(大起水産代表取締役会長)

 ▽全国漁港直送天然魚を回転寿司と物販で独自流通基盤確立貢献

 ▽魚食文化の魅力、生・本マグロ解体ショーで国内外普及貢献

 ▽食の観光ルート構想で日本魚食文化の伝承と発信貢献

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