近畿中四国小売流通特集
新型コロナウイルス感染拡大の影響による長引く外出自粛や学校休校、テレワークの増加などで内食需要(巣ごもり需要)が高まったことが追い風となり、食品スーパーは概ね好調に推移している。保存性の高い加工食品だけでなく、家庭内で食事をつくる機会が増えたことで、生鮮食品(青果・畜産・水産)も売上げを伸ばしている。ただ、消費のパイが拡大したわけではない。むしろ人口減、少子高齢化の進行で縮小傾向にある。コロナ禍で外食を中心とした業務用分野の落ち込み分がシフトして上乗せになったに過ぎない。小売業界を取り巻く環境は依然厳しい。少子高齢化や人手不足対応、消費の二極化や激化する競合状況など課題は山積している。
下期もしばらく内食化は続きそうだが、コロナウイルスによる世界的な経済悪化の影響で個人消費の低迷が懸念されており、消費者の生活防衛意識が高まると想定されるなど、先行き不透明感が強い。さらに関東圏で急成長している激安スーパー「ロピア」の関西進出でシェア争いはより一層激化する。
コロナという不測の事態が発生し、地域のライフラインを担う食品産業(食品スーパー、卸、メーカー)の社会的意義をあらためて認識することになった。安定的に持続可能な経営を目指し、地域のライフラインとしての役割を果たすためには、顧客に信頼される店づくりが必須だ。常に顧客視点で考え、小売企業としての自社の立ち位置を明確にすることで、時代変化に柔軟に対応しながらも独自性を追求していく取組みをブレることなく、地道に継続しなければ、競合に打ち勝ち、生き残ることができない。
(関西支社=廣瀬嘉一)
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◆近畿中四国小売流通特集:持続可能な経営を目指す 地域のライフラインとして
特集 小売 2020.09.26新型コロナウイルス感染拡大の影響による長引く外出自粛や学校休校、テレワークの増加などで内食需要(巣ごもり需要)が高まったことが追い風となり、食品スーパーは概ね好調に推移している。保存性の高い加工食品だけでなく、家庭内で食事をつくる機会が増えたことで、…続きを読む
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特集 小売 2020.09.26●広範囲からの集客見込む コロナ禍で小売各社の新規出店が鈍化傾向にある中、ライフコーポレーションは着実に出店計画を進めている。近畿圏では期中に兵庫県西宮市内で3店舗の出店を計画。同エリアでのドミナント強化を推進している。8月19日、比較的富裕層が多…続きを読む
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特集 小売 2020.09.26◇ライフコーポレーション 上席執行役員近畿圏商品本部長 中川義規氏 ライフコーポレーションは2021年度を最終年度とする中期経営計画で、「ライフらしさ」の深掘りと個店対応の徹底を明確に打ち出すことで、「ライフ」ブランドの確立を目指している。コロナ禍…続きを読む
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特集 小売 2020.09.26◇平和堂 平松正嗣代表取締役社長兼COO 近畿・東海・北陸と広域で店舗展開している平和堂。昨年10月からは久御山センター(京都府久世郡)のPC(プロセスセンター)も稼働し、コロナ禍で急増した精肉の需要に対応。競争が激化する中、価格・品質の強化に加え…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:トーホーストア・小木曽正社長 抜本的な構造改革で黒字…
特集 小売 2020.09.26◇トーホーストア 小木曽正代表取締役社長 地域密着型の食品スーパーを兵庫県下で36店舗展開するトーホーストア(TS)。20年1月期は売上げ197億円(5.2%減)、営業損失3億4400万円の減収赤字だったが、21年1月期上半期は抜本的な構造改革を行…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:イズミ・梶原雄一朗専務取締役 SM事業強化策を推進
特集 小売 2020.09.26◇イズミ 専務取締役営業本部長・梶原雄一朗氏 広島を拠点に中国、四国、九州エリアで大型ショッピングセンター「ゆめタウン」やオープンモールの「ゆめモール」、食品スーパー(SM)「ゆめマート」などを展開する西日本を代表するチェーンストアのイズミ。主力業…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:マックスバリュ西日本・平尾健一社長 生鮮強化型SMの…
特集 小売 2020.09.26◇マックスバリュ西日本 代表取締役社長・平尾健一氏 兵庫・岡山・広島・山口・香川・徳島・愛媛・鳥取の8県で店舗展開するマックスバリュ西日本は、来期の3社(マックスバリュ西日本、マルナカ、山陽マルナカ)合併に向けて、地域密着を強化し、生鮮強化型スーパ…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:ハローズ・佐藤太志副社長 商品戦略強化で業容拡大
特集 小売 2020.09.26◇ハローズ 取締役副社長・佐藤太志氏 中国・四国・近畿の6県に店舗展開を進めているハローズ。長期ビジョンである瀬戸内商勢圏3000億円構想の実現に向けて着実に前進を続けている。コロナ禍にあっても、基本である24時間営業スタイルを貫き、少子高齢化やオ…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:リテールパートナーズ・宇佐川浩之取締役 新しい買い物…
特集 小売 2020.09.26◇リテールパートナーズ 取締役グループ経営企画室長・宇佐川浩之氏 山口県の丸久、大分県のマルミヤストア、福岡県のマルキョウで構成するリテールパートナーズ。売上げ規模約2300億円、店舗数260店舗の企業集団としてより強いローカルスーパーマーケット連…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:フジ・山口普社長兼COO ヒューマンタッチを大切に
特集 小売 2020.09.26◇フジ 代表取締役社長兼COO・山口普氏 四国を代表するリージョナルチェーンのフジは、顧客の声に耳を傾け、要望に応えることを入口に、本当の意味での顧客視点といった価値観に基づく組織づくりを進めている。また、コロナ禍でネット・移動スーパー・EC(電子…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:キョーエイ・埴渕一夫社長 惣菜・PBの製造販売注力
特集 小売 2020.09.26◇キョーエイ 代表取締役社長・埴渕一夫氏 ローカルチェーンの良さを生かした「すきとく市」「とくし丸」が市場に定着し、好調に推移している地場スーパーマーケットの雄・キョーエイ。基本の徹底を進め、マーチャンダイジング力をさらに高めることで、企業体質強化…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:マルナカ・齋藤光義社長 地域密着の取組み強化
特集 小売 2020.09.26◇マルナカ 代表取締役社長・齋藤光義氏 イオングループとして「ベストローカル」を目指し、地域に密着した店舗づくり、運営を進めるマルナカ。生鮮(畜産・デリカ・水産)のPC(プロセスセンター)を新設し本格稼働したことで鮮度を保持しながら効率化を図る体制…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:サニーマート・中村彰宏社長 提案型営業を推進
特集 小売 2020.09.26◇サニーマート 中村彰宏代表取締役社長 高知を地盤とした地域一番チェーンのサニーマート。地域に根差した「生活総合提案型」の小売業を目指している。既存のスーパーマーケットからの脱却を図るため、提案型営業を進め、集客を図るための企画と販促を強化している…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:きむら・木村宏雄社長 鮮魚の活用で差別化徹底
特集 小売 2020.09.26◇きむら 木村宏雄代表取締役社長 きむらは、魚港での直の卸権利や加工センターを持ち、鮮魚を中心に生鮮の差別化で成長してきた。新鮮市場きむらには、他の食品スーパー(SM)とは差別化できる材料は揃っている。今後はその魅力をもっと生かしていきたいとする木…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:サンシャインチェーン本部 川崎博道会長、桑名俊二社長
特集 小売 2020.09.26◇サンシャインチェーン本部 代表取締役会長・川崎博道氏 代表取締役社長・桑名俊二氏 新型コロナの終息を望むが、時代の変わり目こそ、地域のインフラとして認められた食品スーパー(SM)としての存在を再認識して質を高め、特徴ある小売業にしていくとするサン…続きを読む