中部流通特集
●イオンの新事業フォーマットに注目
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が5日、無事閉幕した。開幕直前までさまざまな問題を抱えていたが、蓋を開けてみれば日本選手団の大健闘で列島は歓喜に沸いた。そのおかげで、コロナ疲れで鬱屈(うっくつ)していた気分が少し晴れたように思う。
だが、大会期間中に首都圏を中心に新型コロナウイルスの感染者数が爆発的に増え、緊急事態宣言が21都道府県に発令されることとなった。5日現在、12日までの期限となっているが、首都圏4都県、関西3府県とともに、愛知県、岐阜県、三重県も政府・自治体が延長を検討しているという。
東京で1日2000人以上のコロナ感染者を連日出している時に、国内が東京2020大会の熱気に包まれていたことは信じられないが、感染した人や東京2020大会に参加した選手が悪い訳ではない。コロナ対策が後手に回った政府に問題がある。3日に菅義偉首相が退陣する意向を表明したが、リーダーが交代したらコロナが一気に収束に向かうのかは疑わしい。
翻って、中部地域の食品業界に目を向けると、外食産業は依然として厳しいままだが、主要食品スーパーの直近の販売状況からは内食需要が続いていることが分かる。新型コロナ感染拡大に伴う巣ごもり特需は一巡したが、スーパー各社はこの間に獲得できた顧客を囲い込もうと、商品やサービスで差別化を加速している。
また、スーパー各社は、コロナ後を見据え、持続的に成長できるモデルを構築しようとしている。例えば、製造機能を充実し商品力を向上させるのか、EC(電子商取引)戦略を推進してビッグデータを活用するのか、店単位の権限を高めて差別化を図るのか、はたまた、ESG(環境・社会・企業統治)経営を推進して広く選ばれる企業になっていくのか。各社さまざまだが、社会が新常態化していく中で、今が大きな転換点にあることに変わりないだろう。
10月27日に名古屋市西区にグランドオープンする「イオンモール Nagoya Noritake Garden」は、イオンが東海地区で初めてDX(デジタルトランスフォーメーション)を駆使したスマートストアを出店するなど、新常態に対応した商業施設として開業前から注目されている。
同モールは、都心にありながら、自然環境に恵まれた立地に建ち、商業施設とオフィス、大学のサテライトキャンパスが融合するとともに、隣接するマンションとも直結する。イオンモールは、新たな国内需要の発掘を実現する施策として、これまでとは異なる新たな事業フォーマットを名古屋で確立しようとしている。
以前、あるスーパーの社長から「今後はデベロッパーと連携して出店し、店を街づくりの核にしていくことも考えたい」と聞いた。それぞれ事業規模の違いはあるが、小売業も地域共生、社会貢献で生き残り、あるいは勝ち残りを模索する時代に突入したといえるのかもしれない。(中部支社編集部)
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