冷凍食品特集

冷凍食品特集:家庭用=各社に問われる先見力

冷凍・チルド 2020.11.30 12153号 06面

 家庭用の20年市場規模(末端売価ベース)は、前年比15%増程度と推測する。新型コロナによる巣ごもり需要が、弁当類を除くほぼすべてのカテゴリーで急拡大。市場の伸びは歴史的な高水準となった。新規ユーザーの流入効果が大きく、その後のリピート率も安定している。カテゴリー別では米飯類同10%増、唐揚げ含む夕食惣菜同20%増、麺類同18%増、グラタンやお好み焼きなど含むスナック類同24%増、弁当類は同2%減と苦戦した。また冷凍野菜・果実は同30%増と最も伸び率が高い。

 利益面もおおむね好調に推移したが、利益率では差が開いた形だ。自社工場の生産性が大きいが、それ以外にも物流コストの高止まり、冷蔵倉庫の庫腹不足からくる保管コスト増、原料など海外からの輸入コスト増といった要因によるものとみられる。ただ2~5月は販売好調で、販促活動や特売が控えられた影響で単価や粗利が上昇した。市場の落ち着きとともに、8月以降は各社が販促を再開。販管費は再び増加している。

 今後のメーカー優劣のカギを握る要素の一つが、依然として伸び悩む弁当類の戦略だろう。長期漸減傾向からの脱却はいまだ困難だが、市場の25%を占める最大カテゴリーでもある。売場の縮小に伴い、棚を埋める代替商品の提案が激しさを増しそうだ。新たな切り口で弁当以外の機能も提案できるか注目される。一方で家庭内調理の増加に伴い、冷凍野菜とも異なる料理素材の訴求も活発化する見込みだ。コロナで急増した家庭での昼食に向けた新商品も多数登場しそう。

 政府の「GoToキャンペーン」見直しもあり、観光や帰省など外出が減れば年末年始にかけても好需要が期待できる。市場動向はコロナ次第ともいえるが、来年以降の反動減を見据えるメーカーには危機感も垣間見える。外食業からの市場参入も増える中、買い場の変化・拡大に機敏な対応ができるか、各社の先見力が問われる。

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