ふりかけ・お茶漬け特集

ふりかけ・お茶漬け特集:お茶漬け動向=永谷園が積極展開 新商品で清涼トレンド

水産加工 2019.04.24 11868号 07面

お茶漬け市場は前期、前年比5%増で着地し、久しぶりに大幅に伸ばした。トップメーカーの永谷園が人気アイドルグループの欅坂46のカード封入、CM投下を行って売上げ拡大。2番手の大森屋とともに有力な新商品にも恵まれ、市場を押し上げた。今期は永谷園が「お茶づけ海苔」に続くロングセラーの「さけ茶づけ」「梅干茶づけ」を初めて増量。欅坂CMも投下し、春商戦を例年以上に盛り上げる。50代以上のヘビーユーザー、40代以下のノン・ライトの全層へ、なじみ深い・親しみやすい味わいを再認識してもらう。

市場はパイオニアの永谷園がシェア9割に迫り、活性化策は同社に頼る部分が大きい。最近では16年の「東海道五拾三次カード」復活による市場回復があり、以後は縮小傾向。

週に1回以上食べるヘビーユーザーが消費の半分を占め、うち6割が50代以上という高齢化が、消費停滞を招いている。年に数回食べるライトユーザーは1割未満だが、6割が40代と若年開拓の課題は明確だ(永谷園調べ)。以前から学生の朝食、自由なトッピング提案なども行っていたが、同社らしいインパクトのある欅坂企画で、若年喚起に本腰を入れた格好。施策後の売上げは前年比20%増に近い。近年まれに見る好実績を築き、以後も楽しいアレンジレシピを紹介し、在庫消費を促した。

新商品は永谷園が冷やし専用の「塩すだち茶づけ」を17年に発売し、ヒットして以降も2桁成長。大森屋の「男梅」「かねふく明太子お茶漬け」も売れて、柑橘・梅という消費志向が明らかになった。お茶漬けはもともと、さらっと食べられる清涼感で支持されて、夏が第2の需要期。そうした強みがあらためて浮き彫りになり、酸味を好む女性層の深掘りも期待される。

パックなどのだしブームも波及し、浜乙女の「焼きあごだし茶漬け」が定着。今春はかつて市場2番手だった白子が「お茶漬けサラサラ 玉露園梅昆布茶味」「三種のだし茶漬」を発売し、トレンド対応を明確化。久しぶりの拡販、挽回姿勢を明示している。

今期も販促規模は永谷園がほかを圧倒する。「さけ」「梅干」は発売50年で初とみられるフレーク増量。単体CMと5月まで消費者キャンペーンを行い、シニア・ヘビー需要を刺激する。若年向けには欅坂CMで朝食トッピングを提案。5月17日の「お茶漬けの日」を販売のヤマ場にして、プロ野球5球場での冠試合、店頭拡販と連動する。抹茶、あられ、海苔、コメという日本人なら誰でも慣れ、親しみやすい味わいを広く、再び認めてもらう。

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