ふりかけ・お茶漬け特集
ふりかけ・お茶漬け特集:ふりかけ動向=微減も底堅い需要 元年商品で業界継続
ふりかけ市場は18年3月期、前年比1%減の380億円で着地したとみられる。2年連続で縮小したが、微減と下落率は緩やかになった。
コメ消費の長期低落に比べると需要は底堅い。平成元年の1989年比で市場の推定規模は約100億円増えた。現代の市場をけん引する丸美屋食品工業の「混ぜ込みわかめ」、永谷園「おとなのふりかけ」は元年前後に誕生。主食のご飯周り商材の代表格として消費者に定着し、平成も業界を継続してきた。令和直前からの大型連休、新元号の行楽商戦に臨む業界の、次代に向けたかじ取りが注目される。
前期はウエット具材で食べやすいソフトタイプ、小袋詰め合わせのミニパックなどサブカテゴリーが苦戦。「混ぜ込み」「おとな」がトップブランドの混ぜご飯、小袋分封が伸びて補った。市場構成比は丸美屋「のりたま」などの大袋の直詰めが、4割を超えて最大ボリューム。混ぜご飯が2割を占めて、ソフト1割に残りはミニパック、キャラクター、おむすびの素、分封などが続く。
大袋は「のりたま」のほか、三島食品の「ゆかり」など売場の定番品が、近年堅調に推移している。定番ながら「のりたま」は、チップ入りの企画品を毎年発売するなどして鮮度感を維持。「ゆかり」は通販・土産中心の「ペンスタイル」や、「かおり」「あかり」の姉妹情報、缶チューハイなどのブランドシフトが広く話題となって、消費を刺激する。マーケティングを進化して、主力品人気の世代継承を果たしている。
大袋での明るいトピックがニチフリ食品と大森屋が推進する、異業種大手とのコラボ商品。5年前にニチフリが湖池屋と共同開発して始め、大森屋の「男梅ふりかけ」がヒットした。コラボ品はふりかけの持つ自由で楽しいイメージを増幅。SNSなどで口コミが広がって市場全体も後押し。価値と単価、市場価値の向上につながっている。
「男梅」同様、海苔や鰹節、昆布などを主原料にした大人向けも好調。乾物相場の高騰もあって代替需要も得た。大袋カテゴリー全体では前期、ほぼ前年並みの実績で着地したとみられる。
混ぜご飯の素は前期、前年比4%増と市場をけん引した。丸美屋「混ぜ込みわかめ」の全面リニューアルが成功。包装でブランド名と大きめ具材を際立たせた。豊富な素材量と乾燥具材の再現性を、新パッケージで着実に伝えた。
「混ぜ込み」の高い商品力は平成元年直前となる、1988年7月の発売当時から守っている。製法や原料、宣伝、販促を深めながら、旺盛な弁当需要を喚起し続けている。自らにふりかける食卓用途より、家族などの健康を願う弁当の方が、消費・使用心理は前向き。素材・自然由来の豊かな味わいで、事業と業界継続を引っ張ってきた。
混ぜご飯とともに前期市場を支えたのが小袋分封タイプ。主力の直詰めに比べて徳用感に劣り、以前は苦戦もしたが、近年は規模を回復している。
代表商品である、永谷園の「おとなのふりかけ」は品質への高い満足度を包装全面に明記。5年連続で増収となった。平成元年の1989年10月発売から商品名どおり、当時少なかった大人需要を喚起した。開けたての鮮度感で、豊富な海苔などの品質が伝わりやすい。こだわりの強いシニア層に今も支持され、少子高齢の現代ニーズを捉えている。「混ぜ込み」「おとな」に通じるのが商品の品質本位。大人も満足できる味わいで、それまで子ども頼りだった市場の先細りを防いだ。
前期苦戦したソフト、ミニパックは競合品に押された。ソフトは食べやすさや汎用(はんよう)性などから伸ばしてきたが、サバ人気も喧伝される瓶詰フレーク拡大に遅れをとった。シソやワカメなどの素材感を生かした、こだわりの大容量品は全国展開が進行。ミニはおむすび向きの混ぜご飯に需要がシフトするなど、業界内のバッティングも見られた。
今期は改元を間近に控え、春の行楽・新生活商戦がピークを迎えている。大袋では丸美屋の「味道楽」が50周年で記念販促。得意の周年企画の対象品を年々増やし、来年の「のりたま」60周年へ勢いをつなぐ。さらに丸美屋は、NB初のたれ付き「たれふりかけ」展開を強化。ドライ・ソフトに次ぐ第3形態という、新たなカテゴリーを築く。
永谷園は「おとなのふりかけミニ」を刷新して値下げ。値頃感を追求して、周年企画も合わせ、品質主義を訴える。そのほか、アッパー商材やコラボ商品の開発、展開が今春も加速。単価アップによるコスト吸収も急がれている。
今期は国産海苔が半世紀ぶりの凶作となって、主要メーカーが相次いで値上げ。輸送コストの低いふりかけとはいえ、人手不足による物流費上昇は、他業界と共通。特売販促費の縮小など値締めする動きも散見され、単価と価値の向上が急務になっている。ターゲット設定が大人に偏りがちな面も見られ、高齢化による今後の需要減退も懸念材料。少子化というメーンユーザーの減少を乗り切る、新たな商品戦略が生まれるかどうか。令和の市場継続の成否を握る。
-
◆ふりかけ・お茶漬け特集:ふりかけ微減で前年並み
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24ふりかけ・お茶漬け市場は18年度、ほぼ前年実績並みの554億円で着地し、ふりかけの減少をお茶漬けが補った。お茶漬けは久しぶりの大幅増だったが、構成比7割のふりかけの微減が響いた。現在あるふりかけは大正時代の初期に生まれ、四つ目の和暦を間もなく迎える。1…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:お茶漬け動向=永谷園が積極展開 新商品で清涼トレンド
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24お茶漬け市場は前期、前年比5%増で着地し、久しぶりに大幅に伸ばした。トップメーカーの永谷園が人気アイドルグループの欅坂46のカード封入、CM投下を行って売上げ拡大。2番手の大森屋とともに有力な新商品にも恵まれ、市場を押し上げた。今期は永谷園が「お茶づけ…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:ふりかけ動向=微減も底堅い需要 元年商品で業界継続
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24ふりかけ市場は18年3月期、前年比1%減の380億円で着地したとみられる。2年連続で縮小したが、微減と下落率は緩やかになった。 コメ消費の長期低落に比べると需要は底堅い。平成元年の1989年比で市場の推定規模は約100億円増えた。現代の市場をけん引する…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:丸美屋食品工業 「混ぜ込み」「ソフト」が大幅増
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24丸美屋食品工業は1~3月の第1四半期、主力の「混ぜ込みわかめ」「ソフトふりかけ」売上げを大幅に伸ばした。「海苔わさび」といった大人向け商材も好調に推移した。たれ付き「タレふりかけ」、食卓・汎用向け「味わかめ」など、従来無かったカテゴリーにも挑戦。We…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:白子 夏向け「玉露園梅昆布茶味」訴求
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24白子は2月から「お茶漬けサラサラ 玉露園梅昆布茶味」を発売し、高い認知度が評価されて展開が進んでいる。「三種のだし茶漬」も同時発売。久しぶりにお茶漬けを拡充し、育成姿勢を明示した。既存品は苦戦するが、国産原料の「お茶漬けめぐり」が堅調に推移。海苔メー…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:大盛食品 「糸島」ブランド商品開発に注力
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24【九州】大盛食品は今夏に向けて、「糸島ブランド」をテーマにした商品開発を積極的に行う姿勢を打ち出している。「糸島グルメ」として命名し、まず手始めに、日本一の天然タイの漁獲量を誇る糸島漁港で取れた「天然真鯛」を、レトルトパックしたお茶漬けやふりかけを商…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:永谷園 梅干し増量、お茶漬け積極販促
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24永谷園は今3月期、「梅干茶づけ」の梅干し増量、欅坂46のCM投下といった大型販促を揃える。5月17日の「お茶漬けの日」をヤマ場にして食べやすい朝食と提案。新生活商戦を盛り上げ、前期からの勢いを増す。ふりかけは「おとなのふりかけミニ」を刷新し、値頃感を…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:田中食品 高品質「ソフトふりかけ」投入
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24【中国】田中食品の19年1月期決算の売上高は、ほぼ前年並みとなった。主力の「旅行の友」や「鰹みりん焼」が引き続き好調に推移しているほか、昨年発売したご当地めしふりかけの「わさび飯」と「鰹のたたき丼」も順調に出荷数を伸ばしている。 また、「減塩わかめ…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:三島食品 9期連続増収、4年連続の過去最高更新
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24【中国】三島食品の18年12月期決算は、売上高144億円と9期連続の増収となり、4年連続で過去最高実績を更新した。 家庭用部門でここ数年取り組んでいる消費者参加型の売場提案企画などの販売施策が功を奏し、特に「炊き込みわかめ」シリーズの「しょうゆが香…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:Mizkan 高付加価値・価格商材へ挑戦
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24Mizkanはおむすびの素のパイオニアである「おむすび山」を展開する。最近は植物油などで味わいを深めた「ねぎ油香る炒飯」が食べ応えがあると支持。素材感を押し出した「贅沢だしふりかけ」に「かつおだし枯節」を追加。高付加価値・高価格商材にも挑戦し続けてい…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:フタバ 新工場今夏着工で効率的な生産体制へ
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24【九州】フタバは熊本大震災で被害を受け、工場隣接地に仮事務所を設けて営業を続けていたが、このほど、事務棟、工場を含めた新工場を熊本市内に建設することが決まった。敷地面積約6000平方mに、今夏に着工し、来春の完成を目指す。新工場では今までよりも増して…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:浜乙女 徳用「いわし」発売25周年
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24【中部】浜乙女の前期(19年3月期)ふりかけ・お茶漬け部門の売上げは前年比微増で着地した。昨年8月にリニューアルした「徳用ふりかけ いわし」を中心とする徳用シリーズが好調。混ぜ込みシリーズは「混ぜ込みひじき」が堅調で、新商品の「混ぜ込み十穀」の配荷は…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:大森屋 「塩さば」2億円突破に期待
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24【関西】大森屋は、新商品などのコラボ商品群が好調だ。今春発売の「塩さばふりかけ」は発売2ヵ月で売上高約5000万円となり、年間2億円突破が期待される。昨秋発売の「男梅混ぜご飯」も半年で約6000万円を売上げ、初年度1億円以上を見込む。 「塩さばふり…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:日本海水 「浦島」ブランドの拡大を
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24日本海水は熊本地震で被災した熊本工場(玉名市)が完全復旧し、「浦島海苔」ブランドの海苔やふりかけ、お茶漬けの製造・出荷体制が整った。素材から調味料まですべて国産原料を使用したふりかけや〈全国ふりかけグランプリ〉金賞受賞商品など特徴的なアイテムを取り揃…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:ニチフリ食品 異業種コラボが好評
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24ニチフリ食品は異業種メーカーとの共同開発で先行している。菓子や焼そば、漬物をふりかけにして新奇性、ご飯との相性の良さで支持されている。コラボ品の実売も順調に推移し、開発・品質本位の企業像を伝える。レギュラー品はレシピ提案を強め、伊豆産わさび茎を使った…続きを読む
-
ふりかけ・お茶漬け特集:にんべん 「おかか90g」確かな商品力支持
調理品・コメまわり品 特集 2019.04.24にんべんは前3月期、本格的な味わいの「おかかふりかけ90g」シリーズを再び成長させ、ふりかけ全体でも増収した。「おかか」の素材感のある味わい、大容量の値頃感が支持された。全社で付加価値化とブランディングを深め、ふりかけもNBで珍しい、高収益モデルを強…続きを読む