アイスクリーム特集

乳肉・油脂 2021.03.29

 2019年度に一服感のあったアイスクリーム市場だが、コロナ禍での巣ごもり消費で新たな需要の高まりを追い風に、20年度は攻勢に転じた1年となったようだ。第1回目の緊急事態宣言以降、例年にないスピードでマルチを中心にした売上げが高水準で推移。7月の長梅雨や10月の台風頻発など天候要因によるマイナス影響を受けながらも、年間を通して前年を1~2%程度伸長して新たな年度を迎えそうだ。特に、他の食品カテゴリー同様、ニューノーマルの生活様式が与えた影響は大きく、在宅時間の増加は喫食シーンの多様化をさらに拡大。長引く不安感が募る生活の中で、「癒やし」としての情緒的価値の再認識が進んでいる。ただし、同時にCVSチャネルは伸び悩み、業務用チャネルの回復もまだ時間を要しそうだ。そうした今こそ、あらためてアイスクリームの持つ価値を新たな形で訴求する大きなチャンス。コラボ企画や定番アイテムのブラッシュアップなど、各社さまざまな強化策を進め、市場は新たなステージへと入っていきそうだ。(小澤弘教)