清涼飲料特集

清涼飲料特集:ウィズコロナ マスクと過ごす未知の夏

飲料 2020.07.11 12079号 14面
「世界のKitchenから ソルティライチベース」(キリンビバレッジ)。伸長する希釈タイプでの提案となる

「世界のKitchenから ソルティライチベース」(キリンビバレッジ)。伸長する希釈タイプでの提案となる

すっきりとした炭酸でリフレッシュを提供する「アクエリアス スパークリング」(コカ・コーラシステム)

すっきりとした炭酸でリフレッシュを提供する「アクエリアス スパークリング」(コカ・コーラシステム)

新たな熱中症対策提案となる「ポカリスエット アイススラリー」(大塚製薬)

新たな熱中症対策提案となる「ポカリスエット アイススラリー」(大塚製薬)

 今年は、ウィズコロナによる新たな社会環境で過ごす夏となる。猛暑が予報されるこの夏は、感染を防ぐために、外出時など、マスクを着けて過ごす夏となり、例年以上に「熱中症」対策が求められる。水分補給に加え、喉だけでなく、心や身体の渇きを癒(いや)す働きを有する清涼飲料の価値はさらに高まると思われる。各ブランドは知恵を絞り、ウィズコロナへの対応を図る。(本吉卓也)

 ●熱中症対策への対応強化が進む

 キリンビバレッジが展開する「キリン 世界のKitchen から ソルティライチ」は、今年「たいせつな家族を想って生まれました。おいしく熱中症対策」をメッセージに取り組む。同品が訴求する「家族への想い」を強化し、差別化を図りながら、春から秋まで暑い日本の気候変動に対応していく。

 橘美佳マーケティング部ブランド担当部長代理によると、「近年、気候変動から、夏が長期化しており、熱中症対策が社会課題化している。この課題に対応しようと、熱中症対策の活動に取り組んだ『ソルティライチ』は、19年に過去最高出荷を達成することができた。真夏の最盛期以外でも需要が伸長することに加え、ユーザーからの味覚評価も高く、代替が効かない商品としての支持を得ていることが大きい」と語る。

 10年目を迎える今年は「家族への想い」を強化し、さらなる成長に取り組む。4月28日にリニューアルを行うとともに、5倍希釈タイプの「世界のKitchenから ソルティライチベース」を500ml PETボトル容器で新たに投入した。この希釈タイプの「ソルティライチベース」は、水でうすめて「ソルティライチ」が手軽に作れるだけでなく、炭酸や牛乳などのアレンジの魅力を表現している。

 加えて、環境省と官民一体で取り組む“熱中症アドバイザー”の活動も進化を図る。4月末から、早期の熱中症対策の声掛けに注力し、ウィズコロナの夏に向け「屋内でも熱中症が発生しやすいこと」や「家庭内で過ごす時間の多さから、運動不足や暑さ慣れしていない体への配慮」などを小学校への啓発冊子の配布やWebサイトの立ち上げなどで呼び掛けていく。

 「スポーツ」に軸足を置きながら、「熱中症対策」に取り組むのが、コカ・コーラシステムの「アクエリアス」ブランドだ。「スポーツする人たちを陰ながら、サポートする」という軸はぶらさずに、同ブランド全体で“スポーツをしたくても、できない人たち”を応援しながら、優れた水分補給特性を誇る同ブランドで、「熱中症」対策にも取り組む。「コロナ太り」対策などから、身体を動かすシーンが拡大すると想定し、自宅でのトレーニングなどイエナカシーンへのフォーカスや身体を動かすことへのサポートも図っていく。特に「屋内や自宅でこそ、熱中症対策が必要」という訴求に取り組んでいく。

 同ブランドではコンビニエンスストアで展開している950mlが飲み切りサイズとして、支持を獲得し、伸長しているという。新商品として優れた水分補給はそのままに、スッキリとした炭酸でリフレッシュできる「アクエリアス スパークリング」を投入する。カラダに大切な水分とミネラルを補給すると同時にクエン酸も補給できるのが特徴だ。運動時の水分補給や熱中症対策、リフレッシュシーンなどでの飲用を訴求していく。

 大塚製薬の「ポカリスエット」は、ブランドの社会的責任として早くから、「熱中症対策」に取り組んできた。猛暑が続く近年では、あらゆる渇きのシーンにおける“水分と電解質補給”の重要性を訴求してきた。今年も、水分補給など季節に合わせた売場展開やブランド活性化を行うとともに日常飲用の促進に取り組んでいる。

 熱中症予防啓発として、今年はステイホームの影響で「暑熱(しょねつ)順化ができないこと」による屋内熱中症などのリスクをふまえ、水分と電解質補給の重要性を啓発する活動に注力する。また、新しい熱中症対策の提案として、深部体温に着目し、身体を芯から冷やす「ポカリスエット アイススラリー」も活用していく。真夏やスポーツといった特定の季節やシーンに依存しないブランドに育成すべく、コミュニケーションやエビデンスに根差した啓発活動に取り組みながら、さらなる成長を目指していく。

 加えて、伊藤園の「健康ミネラルむぎ茶」、サントリー食品インターナショナルの「サントリー天然水 うめソルティ」や「GREEN DA・KA・RA」シリーズ、大塚食品の「クリスタルガイザー」、赤穂化成の「熱中対策水」など、各社が取り組む多種多様な熱中症対策を訴求するアイテムで、猛暑が予想されるマスクと過ごす未知の夏の生活をサポートしていく。

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