清涼飲料特集

清涼飲料特集:チルドカップコーヒー 嗜好多様化の中で存在感

飲料 2020.07.11 12079号 14面
チルドならではの利点を生かし、底堅く推移している

チルドならではの利点を生かし、底堅く推移している

 チルドカップコーヒー市場は、コーヒーそのものに飲用バリエーションが増え嗜好(しこう)の多様化が進む中で、チルドならではのフレッシュな味わいの提供を武器に底堅い存在感を示している。2019年度の市場は前年から一転、4~5%増で推移したとみられる。18年度はPETボトルコーヒーの登場でユーザーが流れた感が否めなかったが、19年度はその傾向も一巡。中でもチルドカップの強みを発揮したラテタイプが押し上げ要因となった。コーヒー自体はフルーツコーヒーなど組み合わせる素材にバリエーションが増え、コンビニエンスストア(CVS)のカウンターコーヒーもカフェ感覚での利用の広がり、PETボトルコーヒーに代表されるごくごく飲める止渇(しかつ)系のニーズなど、飲み方の多様化が進む。

 一方、CVSなどではPB品との競合は引き続き激しさを増し、各社NBブランドの独自性に回帰し、チルドカップならではの味わいの訴求を強めているようだ。特に、期間限定で投入するフレーバー品は高評価を獲得し、季節ごとに堅調に推移。今年度もさまざまなコンセプトの商品展開が進んでいる。ただし、新型コロナウイルス禍による働き方や生活様式の変化の影響は、購買と飲用シーンに大きく影響し、商品価値を高めた販促展開などが今後の雌雄を決しそうだ。チルドカップ飲料市場でトップシェアの森永乳業と、「スターバックス」ブランドを展開するサントリー食品インターナショナルの取組みを紹介する。(小澤弘教)

 ●堅調、季節フレーバー品

 チルドカップコーヒー市場でトップシェアを誇る森永乳業は今年度、「マウントレーニア」で基幹商品である「STANDARD」シリーズ各品を柱に、チルドカップならではの味わいを訴求した販売を進めていく。昨年度も好調のフレーバー品では、「和」のフレーバーとコーヒーを組み合わせたラインアップを提案。新たな飲み方提案を進め、市場活性化を図る考えだ。

 19年度はほぼ前年並みで推移したものの、CVSはPBとの競合激化で苦戦を強いられた。夏場に「STANDARD」4品をブラッシュアップし、俳優の西島秀俊を起用したTVCMを投下。ターゲットとしていた30代男性からの評価に加え、女性層からの反響も獲得した。

 今年度から季節限定の「SEASONALITY」シリーズで、「ニッポンCOLOR(カラー)VIBES(バイブス)」をテーマに、日本の文化・伝統色をまとった日本らしいコーヒーカルチャーの楽しみ方を提案。パッケージデザインも視認性を高めており、春に「カフェラッテ らら・さくら」と「同ほな、抹茶」、7月に「同夏とゆず」を期間限定で発売した。季節限定品を間断なく投入することで、売場活性化につなげていく。

 コミュニケーションでは、新TVCMを5月に投入。俳優の窪田正孝を起用し、30代オフィスユーザーをターゲットに共感醸成を図る。

 サントリー食品インターナショナルの「スターバックス」は、スターバックスらしいコーヒーへのこだわりやおいしさをより感じてもらえるよう、3月に主力商品の「カフェラテ」「ドッピオ エスプレッソ」「抹茶ラテマキアート」の3品をリニューアル。期間限定品についても「サプライズ&ディライト」という、スターバックスらしい季節に合わせた味わいや楽しさを提供するシリーズとしての魅力を強化した商品を定期的に展開していく予定だ。

 昨年2月、東京・中目黒に「スターバックス リザーブロースタリー 東京」がオープン。焙煎工場を併設した、世界で5番目となるコンセプト店舗で、ブランドの主軸をコーヒーに回帰させた戦略について評価を得ている。

 同ブランドは05年の発売以来、高付加価値商品群「プレミアムカテゴリー」をチルドカップ市場に新たに創造し、独自のポジションを築き上げてきた。フレーバー品で4月に「ストロベリークリームラテ」、6月に「サマーレアチーズケーキ」を発売した。また、6月にはファミリーマート限定で「ストロベリーフレンチバニラwithストロベリークラッシュ」を投入しており、新たなユーザー獲得とともに、市場におけるポジションをより強固なものにしていきたい考えだ。

 各社チルドならではの利点を生かした味わいの訴求などを中心に戦略を進めるが、新型コロナウイルス禍の影響による、消費者の購買行動の変容には注視が必要だ。PBとの競合が激しさを増している主要チャネルのCVSだが、外出自粛や在宅勤務の増加などで、利用率の低下が購買に直撃。市場は4月以降も前年同期間と比較すると苦戦の状況にある。6月以降は緊急事態宣言の解除後ではあるが、働き方の変化が進んでいることは事実で、働く場所がオフィスに限られなくなってきている。こうしたアゲインストの状況にある一方、開発の自由度が高いチルドの利点を生かし、新たな提案をすることで、むしろ市場を再拡大させるチャンスは十分にあるとの見方もあり、特に季節限定品が今後の展開を左右しそうだ。

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