冷凍食品特集

冷凍食品特集:家庭用 今年度2%拡大か 収益重視も値上げ限定的

冷凍・チルド 2019.06.28 11900号 06面
冷凍パンをパン関連棚に、売場も拡大変化

冷凍パンをパン関連棚に、売場も拡大変化

家庭用の18年度市場規模(末端売価ベース)は、前年比2%弱拡大し、17年度の約4%増に続き成長を保った。ただ成長ペースは明らかに鈍化し、特に18年10月~19年2月までは調理冷食の苦戦が続いた。昨秋に強力な商品提案がなかったほかに明確な不振原因の特定ができない中、3~4月にかけて再び潮目が変わり、現在では各メーカーが堅調または好調といえる水準に転じている。だが今秋新商品・リニューアル品の実力次第では、昨年同様に消費が落ち込む懸念が残る。

前期も需要は底堅さがあったが、商品カテゴリー別の売上げ推移(本紙推計)では縮小が目立つ。好調を持続したのは鶏唐揚げ10%増とパスタ5%増ぐらいで、米飯類は3%弱の伸びと減速、パスタを含む麺類トータルは3%増と若干の鈍化、冷凍野菜は3%弱とやはり鈍化した。苦戦が続く弁当おかずは7%減と大きく落ち込み、“主戦場”といわれたかつての勢いを失っている。代わって需要を伸ばしている食卓惣菜は、小規模ながら約6%増と健闘中。

19年度の各社市場予測を総合すると、2%程度の拡大となりそう。成長は保つものの、力強さには欠けるとの認識だ。各種コストの上昇を受けて利益面の苦戦が続く中、カギを握るのは一斉値上げだが、現時点では各社が米飯類・麺類のみにとどめている。弁当おかずなどは「値頃感を外す価格帯となれば、棚から消えてしまう」と警戒感が強い。コンビニエンスストアやドラッグストアの店舗拡大を背景に業態間の競合も激しさを増し、一部小売では低価格志向を鮮明に打ち出すなどメーカーの困惑を招いている。

収益力の回復・向上を重視するメーカーは今後、強いカテゴリーのさらなる強化、単品の集中生産・販売による採算改善に最注力するもよう。一方で苦戦が続く弁当おかずのテコ入れ、新規顧客の開拓に向けた夕食惣菜の提案も急務だ。そのバランスをどうとるかが注目される。

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