即席麺特集

◆即席麺特集:カップ麺けん引し回復基調 周年やコラボで活性化へ

小麦加工 2021.09.29 12301号 09面

 即席麺市場は回復基調にある。20年が新型コロナウイルス感染拡大の家庭内需要の高まりで、袋麺を中心に売上げを伸ばした裏年となるため、特に4~6月のマイナスとなったが、7月以降は前年を上回って推移している。中でもカップ麺は6月から前年を上回り、回復が早まっている。袋麺は、前年比2桁減が続くものの、一昨年比では増加しているため、昨年の喫食経験を機に需要が高止まりしているようだ。これから最需要期を迎えることから、カップ麺、袋麺とも勢いを加速させていき、通期での成長を目指す。(久保喜寛)

 21年度(4月~)のスタートは前年実績が大きかったため、前年比ではマイナスで推移すると予測されていた。4月は総数量が前年比13.7%減、総小売額で同7.2%減(前年は出荷額との差)と、大きなマイナスの出だしとなった。5月の総数量が同23.6%減、総小売額が同18.1%減とさらに大きなマイナスになるも6月の総数量が同11.3%減、総小売額が同2.6%減、7月の総数量が同1.2%減、総小売額が同6.2%増と7月の総数量では前年並みレベルとなり、総小売額では前年を上回った。6月以降は顕著に回復基調となっており、8月は中旬から気温が下がった影響もあり、順調に売上げを伸ばしたようだ。9月の状況によっては4~9月の上半期で前年実績並みで折り返せる可能性が出てきた。

 カテゴリーで見ると、カップ麺は4月の総数量が前年比12.4%減、総小売額が同2.4%減、5月の総数量が同20.6%減、総小売額が同12.3%減、6月の総数量が同4.2%減、総小売額が同8.2%増、7月の総数量が同0.9%増、総小売額が同13.1%増、4~7月累計総数量が同9.3%減、総小売額が同1.0%増と、6月の総小売額からは成長している。

 カップ麺は、日清食品の「カップヌードル」や東洋水産の「MARUCHAN QTTA」、サンヨー食品の「カップスター」など、各メーカーの主力ブランドの販売が順調なことが復調の要因となっている。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で移動に制限がある中、旅行に行った気分でその土地の味が楽しめるご当地ラーメンが引き続き売上げを伸ばしている。SMなどで産地のフェアなどを開催する機会も増えていることから、今後もご当地ものカップ麺の売上げは伸びていきそうだ。異業種食品メーカーとのコラボ商品なども安定した売上げを確保しているようで、今後も商品ラインアップが増えていきそうだ。

 秋冬に向けては、日清食品の「カップヌードル」が発売50周年を迎えることで、積極的な商品展開やプロモーションが実施されることから、カップ麺全体への話題喚起になりそうだ。

 さらに、東洋水産が「ごつ盛り」シリーズで初めての和風タイプ「マルちゃん ごつ盛り きつねうどん」「同 天ぷらそば」を投入し、サンヨー食品が「カップスター 海老天そば」と「同 きつねうどん」を発売するなど、そば、うどんの和風タイプのアイテムが充実するため、年末商戦に向けて盛り上がっていきそうだ。

 一方、袋麺は4月の総数量が前年比16.0%減、総小売額が同23.6%減、5月の総数量が同28.9%減、総小売額が同33.8%減、6月の総数量が同23.0%減、総小売額が同30.8%減、7月の総数量が同5.2%減、総小売額が同14.7%減、4~7月累計総数量が同19.1%減、総小売額が同26.4%減と、昨年大きく伸長した反動が出ている。ただし、19年度比では増加しているため、需要は底上げされているといえる。アイテムでは、定番品が着実に販売数量を確保しているようだ。ただし、定番ブランドの限定品などの売上げも堅調のようで、新しいものを求めるニーズも高まっているという。

 社会環境は、コロナ禍で内食化が続いていることから、家庭で袋麺を利用する機会は増える可能性があるため、通期に向けても引き続き袋麺を使ったアレンジメニューを提案していくことで、需要の裾野拡大を図っていく。

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