九州食品産業特集

総合 2021.06.29
九州食品産業特集

 ●九州加工食品メーカー群、6次産業化推進地盤揃う
 農林水産省によると、2019年の九州農業の産出額は1兆7520億円で、全国シェア19.6%。ブロック別シェアでは関東の26.7%に次ぎ、以後東北16.0%、北海道14.0%と続く。
 九州地区の都道府県別では、鹿児島県が4890億円で全国2位、宮崎県が3396億円で同5位、熊本県が3364億円で同6位となっている。
 各農畜産物別では畜産部門が8315億円で25.7%を占め、野菜が4212億円で19.6%、コメが1606億円で9.2%、果実が1243億円で14.8%。特に九州地区は畜産部門のシェアが高く、鹿児島県では肉用牛1278億円、豚847億円、ブロイラー695億円ですべて全国1位。水産業では2019年海面漁業漁獲量は九州48.4万tで全国シェアは15.0%。これに海面養殖業漁獲量では九州26.8万tで全国シェアは29.3%となっている。
 これらを見ると、九州は第1次産業である農業、畜産業、水産業の産出額で、全国有数の生産地であることがわかる。つまり、1割経済といわれるその中で、約2倍以上の食経済を支えているという計算となる。
 このように九州は食資源の宝庫だが、これらを活用した地域活性化への取組みとしての6次産業化にも多くの企業が取組みを始めている。
 収穫から加工、販売までその裏には「農商工連携」というトータルな施策も必要で、円滑に食品が生活者まで届けられる全体観を持って対処することが求められる。
 九州は恵まれた農水畜産物で、これらの原料を加工し製品化する食品製造業も全国的に見て数多い。近年、商品の差別化戦略の一環として九州原料にこだわった加工品や原料に近い場所で加工製造する「地産地工」の概念を強化するメーカーも輩出している。
 ここで原料から製品化する加工メーカーの役割は大きく、6次産業推進化で強い基盤を持つ九州食品加工業の意義は大きな意味を持つ。ここでは全国へと根を張るメーカーも多く、その各社の現況を紹介する。(九州支局長=堀江勝)