ヨーグルト・乳酸菌飲料特集

ヨーグルト・乳酸菌飲料特集:数字で見るヨーグルト=新型コロナ、購買に影響

乳肉・油脂 2020.06.08 12062号 10面

●機能性・プレーン伸長続く

19年度から直近までのヨーグルト市場の動向を、POSデータや統計などから見てみる。新型コロナウイルス流行の影響で、市場は20年度第4四半期(20年1~3月)から拡大を続け、4月に入ってからも堅調に推移している。特に、家族での喫食を想定した大容量プレーンや、健康増進が期待される機能性商品の関心の高まりなど購買行動に影響を与え、継続して両ジャンル商品が伸長しているようだ。

Jミルクが5月27日に公表した「2020年度上期の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」によると、19年度の牛乳等生産量実績のうち、発酵乳は103万3000klで前年を2.6%下回ったものの、新型コロナの感染が拡大した第4四半期は前年比2.3%増と伸長した。今年度上期も、第1四半期で同8.3%増の28万8000kl、第2四半期で同10.3%増の28万2000klと増産を見込んでいる。

農林水産省では、生乳生産量がピークを迎える4~6月にかけて、生乳が行き場を失うことを回避するためにヨーグルトや牛乳の消費拡大を推進する「プラスワンプロジェクト」を呼びかけており、家庭内消費は引き続き高い水準で推移すると予想される。

また、Jミルクが5月29日に発表した「牛乳乳製品に関する食生活動向調査2019」では、「健康機能を理由にして食品を購入・利用することがある」人のうち、ヨーグルトの利用を増やす理由では「乳酸菌摂取」「カルシウム摂取」が男女とも上位にきており、一方で減少理由として「値段が高い」ことなどが挙げられている。

1月に国内初となる新型コロナウイルスの感染者が報告されて以降、2月27日には安倍晋三首相が全国一斉の小中高校の臨時休校を要請。その後も感染者は増え続け、4月7日には7都府県へ、16日には全国一律での緊急事態宣言が発令され、5月25日の解除まで感染拡大防止のための店舗営業や外出の自粛、密閉・密集・密接の「三密」の行動を避ける新たな生活様式の浸透、テレワークなど働き方の変化に伴う在宅時間の増加など、消費者を取り巻く環境は大きく変わった。

20年2月以降のKSP-POSデータを見てみると、そうした行動変容に伴う消費者意識の変化が現れており、特に、ヨーグルトカテゴリーには機能性商品を中心に、健康への自己防衛意識を反映した推移が見られる。

カテゴリー全体では、2月は金額ベースで前年比7.9%増、数量ベースで同3.6%増。3月は同9.3%増、同3.4%増。価格改定の裏年に当たる4月に入ってからも同17.0%増、同12.5%増と大幅に伸長している。

内訳を見ると、明治の「R-1」ドリンクタイプが好調に推移。特に、箱タイプ(112ml×12)が2月に金額ベースで同38.2%増、3月に同101.3%増、4月に同164.5%増と拡大を続け、家庭内消費の高まりを表す結果と見て取ることができる。「同低糖・低カロリー」も伸長が進んでいる。森永乳業の「トリプルヨーグルト」も4月に入ってからも大躍進を見せ、機能性ヨーグルトカテゴリーでの存在感を着実に増している。

同様にプレーンの400g大容量タイプも引き続き好調を維持。4月単月では、明治の「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン」が同14.5%増で売上高最上位を確保。雪印メグミルクの「ナチュレ恵megumi」が同18.6%増、森永乳業の「ビヒダス プレーンヨーグルト」が同20.2%増、小岩井乳業の「生乳100%ヨーグルト」が同21.4%増と上位10品に食い込んでいる。

また、ソフトの連物商品も伸びを見せており、今後のヨーグルト購買行動の変化がますます進んで行きそうだ。

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