コメビジネス最前線特集

コメビジネス最前線特集:米粉=19年は2桁増、大手採用進む

粉類 特集 2020.04.15 12039号 07面

国産米粉市場が順調に拡大している。農林水産省試算によると、19年米粉用米需要量は約3万5000tに達し、前年の3万1000tから4000t増え、12%増となった。需要量とは、同省が需要者からの聞き取った数量を合算したもので、12年以降毎年2万t程度で推移していたが、18年に3万t超えの3万1000tに達し、同24%も拡大。昨年はこの前年をさらに2桁増で上回ったことになる。

要因は、米粉用途の広がりだ。独自のモチモチした食感や老化を遅らせるなどの利点が判明し、大手製パンメーカーに代表される食品産業で採用が増えた。併せて、国内でも「グルテンフリー」のキーワードが定着し、ダイエットやスポーツのパフォーマンス向上などの目的を持つ人の間で、差別化につながっている。

国の施策も後押ししている。農林水産省が17年3月に公表した「米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン」に沿い、わが国の世界最高水準検査法を活用して世界でも類を見ないグルテン含有量1ppm以下の米粉を「ノングルテン米粉」とした自主基準を定めた。この適用が昨年、従来の米粉製品に加え加工品にも拡大された。

そこで昨年12月、ネティエノ(山口県)の「ノングルテン米粉使用パン」、3月にみたけ食品工業の「米粉天ぷら粉」が、日本米粉協会から相次ぎ、これに認定された。みたけ食品工業はこれに先駆け一昨年、「米粉パウダー」で業界初「ノングルテン米粉認証」を取得。天ぷら粉はこれを85%配合している。

認証の要件となるのは、(1)ノングルテン米粉が主原料(2)HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(3)日本米粉協会主催の講習会を受講–の3点。これをクリアし、同協会に登録・申請後、「ノングルテン米粉加工品使用ロゴマーク」の使用を認められる。

さらに、増粘剤や油脂などの代替として使用できるコメピューレやアルファ化米粉などの米粉加工品も登場し、活用した商品開発が進んでいる。例えば、こうした加工品がアレルギー対応米粉パンのおいしさを確保し、商品開発を後押ししている。代表事例として、尾西食品の「おにしのお米のパン」や、第一屋製パンの特定原材料7品目不使用・国産米粉100%パンのブランド「FAHAN」シリーズ「食事パン玄米」がある。

一方で米粉はグルテンフリーの切り口で、市場育成の早い段階から、海外市場を視野に活動してきた経緯があり、加工品を含む国産米粉輸出量は17年度約50t、18年度約200tとなり、19年度は700tに達する見込みだ。このプロモーションとして、ジェトロやJFOODOが後押し、業界大手の間で海外展示会に出展するケースが目立っている。

ただ問題もある。米粉用米生産量に着目すると、19年は前年並みの2800tにとどまり、需要量(3万5000t)との乖離が広がっている。国の飼料用米生産振興で、飼料用米生産者を手厚く助成していることが背景にあり、原料米手当が困難となるのは時間の問題だ。これが市場拡大の阻害用意とならないよう、早急な問題解決につながる、国の施策が必須となってきた。

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