近畿中四国卸売流通特集

卸・商社 2020.08.29
近畿中四国卸売流通特集

 ●変化する売れ筋の見極めと商品供給力が鍵
 新型コロナウイルスの感染拡大は、近畿中四国エリアの食品卸売流通業界にも大きな影響を及ぼした。3月に入り学校の臨時休校に伴い、カップ麺やパスタ、パスタソースといった「簡便商材」が伸長、その後は長引く外出自粛要請に伴い、「手作り需要」に即した商品が伸びた。その結果、商品の欠品やメーカーの出荷調整が生じ、大手量販店への商品の上位集中化が発生。地域卸を中心に商品が十分に揃わない時期もあった。
 感染防止対策として卸各社ではテレワークや時差出勤を導入し、訪問営業が難しい状況では、オンラインによる営業活動を積極的に取り入れる事例も。一方で卸各社が例年、開催する大規模展示会はその多くが中止に追い込まれた。大手卸では、Web上で「提案会」を開催する動きも。関西エリアを拠点とする地域卸各社がメンバー社となり活動する「R-net」では、メーカーとともにこれまで注力してきた共同企画販売が一時、コロナ禍により展開できない事態に。これから迎える秋冬シーズンに向け、反転攻勢を仕掛ける構えだ。
 6月以降は商品不足の逼迫(ひっぱく)状態は落ち着いたが、コロナ禍では売れる商材が刻々と変化している。新たな生活様式に沿う“食”の提案が商機になる。消費者の購買行動がどのように変わっていくのかを見極め、ニーズを先取りしていく取組みが求められる。(特別流通取材班)