中部秋季特集
◆来年6月、卸売市場法改正
「たかが2%、されど2%」。いよいよ消費税が10月1日、8%から10%へと増税された。これに際して食品関連では軽減税率やキャッシュレス決済に対するポイント還元などの複雑な制度導入で、当初の予想通り切り替え時にはさまざまな場面でトラブルが発生。制度自体を売り手・買い手が理解するまでもうしばらく時間がかかりそうだ。
特に食品スーパーなどの売場では軽減税率対象商品と対象外商品が混在。例えば、酒類は対象外であることから9月は駆け込み需要として酒類売場は大いににぎわった。さらに調味料として使用されるみりんは、本みりんがアルコール分(12.5~14.5度)であるために「混成酒類」に分類され軽減税率の対象外となっている。その半面、ほとんどアルコールを含まない「みりん風調味料」は対象商品となり、増税後にはそれを知らず商品購入時にクレームが発生することも懸念されたが、「事前にTVの情報番組などで頻繁に話題として取り上げられ、消費者には十分に情報が行き届いていた」(酒類メーカー)ことから売場は比較的スムーズに決済が行われているようだ。また、外食産業をはじめ惣菜、弁当、サンドイッチや調理パン、寿司などの中食市場では同じ商品であってもテークアウト、または店内やイートインコーナーで食するのかによって税率が変化する。買い物客にその都度確認するなど、業務上非効率となる。
一方、生鮮市場では来年6月からの卸売市場法改正に伴い、市場環境は大きく変化する。「この改正が生産者と流通業、そして消費者にとってよりよいものになることが重要であり、将来に向けて新たな時代の卸売市場の運営につなげていかなければならない」(名古屋青果)と強調。市場の卸・仲卸ではそれぞれの機能を明確に発揮し、さらに存在価値を高め生き残りを図っていこうという考えだ。
今年は、元号も“平成”から“令和”へと改元され、日本として新たな一歩を歩み始めた記念の年でもある。食品業界にとってもさまざまなマイナス要因をはね除け、年末に向けてこの1年の集大成として有終の美を飾ることができるのか。まずは「食」の原点である「安全・安心」をベースにしながら、歳時や通過儀礼のイベントをはじめ消費増税に伴う還元セールなど、多彩な工夫を凝らした中で「良品廉価」で「簡便」、そして何よりも「おいしさ」の追求が重要となる。まさに「十人十色」といわれる消費者の欲求に応えられる企業こそが「新時代を勝ち残る企業」へとさらに成長できる。(中部支社編集部)
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◆中部秋季特集:消費増税・軽減税率、複雑な制度スタート 新時代勝ち残りへ
総合 2019.10.31◆来年6月、卸売市場法改正 「たかが2%、されど2%」。いよいよ消費税が10月1日、8%から10%へと増税された。これに際して食品関連では軽減税率やキャッシュレス決済に対するポイント還元などの複雑な制度導入で、当初の予想通り切り替え時にはさまざまな…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く=東海コープ事業連合・コープあいち・森政広理事長
小売 2019.10.31東海コープ事業連合は、コープぎふ、同あいち、同みえの商品部門などを担う組織で、東海地区の3生協を合わせた規模は、東海3県に組合員数90万人、総事業高1100億円を有する一大組織を構築。子育て、共働き、高齢者の各世代向けに幅広い世代に向けた提案を地道に…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く=コープいしかわ・大谷学理事長
小売 2019.10.312000年に三つの地域生協が合併したコープいしかわ。19年3月期は、供給高が0.3%増の162億円、経常剰余金は36.9%増の2億3000万円と増収増益で、いずれも過去最高で着地。特に店舗事業は、2店舗体制となった15年以来、4年連続で増収している。…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く=富士特殊紙業・杉山仁朗会長
機械・資材・IT 2019.10.31環境問題に早くから着目、環境に優しい水性インキを使ったプラスチックフィルムへの水性グラビア印刷を世界で初めて実用化した富士特殊紙業。同社の技術は消費者にとってより安全で安心な食品包装の提供につながり、環境問題に関心の高い食品企業からの賛同の輪は今後も…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く=ワタナベフーマック・渡邊将博社長
機械・資材・IT 2019.10.31社会構造の変化に伴い「省力化・省人化」への対応が進む。ロボットの導入推進とIoT対応が主な方法だが、食肉加工機を扱う企業には「リスク低減」も同様に重要。その中でワタナベフーマックはグローバル展開に向けた安全確保への機械のカスタマイズ力に定評がある。渡…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く=ゼネラルパッカー・牧野研二社長
機械・資材・IT 2019.10.31包装機専業企業は全国で数百社あるといわれているが、このうち上場企業は2社のみで、ゼネラルパッカーはその1社。多品種少量生産が可能な「ロータリー式自動包装機」など、海外からも評価は高い。現在は包装機にとどまらず、製造ラインをトータルで提案している。牧野…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く=セントライ青果・小坂芳則社長
卸・商社 2019.10.31食品産業にとって青果・畜産・鮮魚の生鮮三品はまさに要(かなめ)。それが20年6月からの卸売市場法改正に伴い、市場環境は大きく変化する。「農水大臣の認可から認定へと業者への対応が変化し青果流通業も一つの過渡期にさしかかっている」(名古屋青果・吉田真太郎…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く=名古屋青果・吉田真太郎社長
卸・商社 2019.10.31●産地・販売先との連携強化 青果市場はここ数年、国産品は農家の生産が減少傾向にあって、付加価値の高い商品へとシフトしている。加えて国内果実も数量が上がらず、その分輸入品が数量を上げている。国内産地の状況でいえば、その産地ならではの商品がある、または…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く=杉本食肉産業・杉本達哉社長
卸・商社 2019.10.31●創業120周年セールで還元 食肉市場としては現在、畜産業者で大きな問題となっている豚コレラに関しては消費自体にほとんど影響していないのが実情だ。豚コレラが人体に健康被害を及ぼさないということが周知されているためであり、これに際し消費者も冷静に対応…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く今後の戦略=スジャータめいらくグループ・日比治雄代…
乳肉・油脂 2019.10.31乳製品を主力に、製造直販としてのメリットを生かした展開で差別化を図るスジャータめいらくグループ。さらに「ブランドの認知拡大において新たな取組みも行う」という。日比治雄代表にその現状と今後の方向性などを聞いた。 ●製造直販生かす体制に --今期の状…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く今後の戦略=ヤマモリ・三林憲忠社長
調味 2019.10.311889年創業のヤマモリは今年、創業130年と、69年に自社開発した「レトルト殺菌装置」による現在の主力商品の一つ「釜めしの素」が発売50周年を迎えている。約20年前には企業理念を一新し「果てしなき夢をえがき満足を追求しつづける」を掲げ現在に至る。こ…続きを読む
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中部秋季特集:トップに聞く今後の戦略=マルサンアイ・渡辺邦康社長
味噌・醤油 2019.10.31愛知県岡崎市に本社を構えるマルサンアイ。事業は、味噌にはじまり、豆乳、発酵豆乳食品、アーモンドミルク、ライスミルク、ココナツミルクなど、大豆にとどまらない、植物性の素材を使用した多岐にわたる商品を展開。健康志向の高まりを先読み、開発した豆乳では業界を…続きを読む
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中部秋季特集:味噌・醤油=ナカモ 生味噌群と調理味噌群で売上げ増
味噌・醤油 2019.10.31ナカモの2019年9月期の売上高は、速報値で前年比5%増。主な要因には、メディアで味噌が健康に良いと報道があった影響を受け、「ナカモ西京白みそ」をはじめとする生味噌群が好調であったことが挙げられる。 また一方で継続する豆味噌ブームを踏まえ業界の今後…続きを読む
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中部秋季特集:味噌・醤油=サンジルシ醸造 三重県産アカモク具材みそ汁発売
味噌・醤油 2019.10.31●地産地消を喚起する商品 サンジルシ醸造はこのほど、三重県産のアカモクを具材に使用した新商品「アカモクとオクラのみそ汁」(5食入り)をはじめ、リニューアル商品として「即席料亭赤だし長ねぎカップ」「即席料亭赤だしとん汁カップ」「即席みそ汁カップ赤だし…続きを読む
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中部秋季特集:味噌・醤油=キッコーマン食品中部支社 「すしパ」の提案強化
味噌・醤油 2019.10.31●Mizkanとタッグ キッコーマン食品中部支社は引き続き全社同様「いつでも新鮮」シリーズに注力。レギュラー品の「しぼりたて生しょうゆ」などの伸長に加え、「味わいリッチ減塩しょうゆ」をはじめ3種類を揃えた減塩醤油や、「あごだししょうゆ」など5種類を…続きを読む
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中部秋季特集:味噌・醤油=マルサンアイ 「鮮度みそ」シリーズ250万本を突破
味噌・醤油 2019.10.31●中核商品リニューアル マルサンアイの味噌事業での19年9月期第3四半期売上高は前年比4.2%増と伸長。要因には、メディアで赤だしが取り上げられたのを機に伸長が続く、赤だしを中心としたカップ入り味噌や業務用味噌の好調に加え、17年9月に発売した業界…続きを読む
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中部秋季特集:味噌・醤油=イチビキ 「献立いろいろつゆ」刷新
味噌・醤油 2019.10.31●味噌新商品にも注目 今年4月で株式会社設立100周年を迎え、サンプリングやコラボイベントなどさまざまな記念事業を行うイチビキ。今秋は、ご当地調味料「献立いろいろつゆ」をリニューアル。10月1日からは、料理のシズル感にこだわった、新TVCM「しみる…続きを読む
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中部秋季特集:味噌・醤油 豆味噌ブーム到来 業界に追い風
味噌・醤油 2019.10.31●一致団結して市場拡大へ 愛知県を中心に東海エリアは、醸造文化の盛んな地域として知られる。特に近年は、愛知県味噌溜醤油工業協同組合と岡崎市の老舗2社からなる八丁味噌協同組合との豆味噌「八丁味噌」での地理的表示(GI)保護制度をめぐる対立で注目を集め…続きを読む
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中部秋季特集:アイスクリーム動向=下期は販促企画と商品力勝負
乳肉・油脂 2019.10.31今年のアイスクリーム市場は、全国的に2~3週間早い梅雨明け、その後の7、8月の猛暑で統計開始以来最も気温が高くなった地域もあり、西日本では豪雨災害があったが、気温の高い天候が影響して、業界売上げを押し上げ、一部メーカーでは7、8月に在庫が品薄状態となり…続きを読む
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中部秋季特集:アイス商品担当に聞く=日本アクセス東日本営業部門・石川健夫氏
乳肉・油脂 2019.10.31◇日本アクセス東日本営業部門 地区商品部長代行 石川健夫氏 ●客単価アップ 中・高価格帯商品へシフト 日本アクセスの今上期(4~9月)の中部エリア売上高は、前年比2%減(金額ベース)。冷夏の影響による7月と3月の値上げの反動で、4月が前年を割った…続きを読む
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中部秋季特集:アイス商品担当に聞く=イオンリテール東海カンパニー・谷畑一人氏
乳肉・油脂 2019.10.31◇イオンリテール東海カンパニー 商品統括部デイリーフーズグループフローズン担当 谷畑一人氏 ●地域に合った売場作り スイーツ系を下期限定販売 イオンリテール東海カンパニーの今上期(3~8月)売上高はほぼ計画通りとなった。7月は長雨による落ち込みが…続きを読む
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中部秋季特集:アイスクリーム各社の秋冬主力商品 ワンランク上の商品投入
乳肉・油脂 2019.10.31●大人が楽しめるワンランク上の商品投入 井村屋の今期売上げ状況は、冷夏の影響で7~8月が苦戦した。9月発売の新商品として、マルチタイプの新味「BOXやわもちアイス(黒みつきなこカップ)」を投入。発売して出だしは順調に推移している。やわもちシリーズで…続きを読む
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中部秋季特集:白醤油・白だし=愛知県が誇る特産調味料 上品な味で家庭にも
調味 2019.10.31●商品の魅力を地道に後世へ 白醤油は、豆味噌、たまり醤油とともに愛知県が誇る特産調味料。淡く美しい琥珀(こはく)色、ほんのりとした甘味、新鮮で豊かな香りを特徴としている。また、白だしは、白醤油にだし、みりんを加えて作られるもので、こちらも同県が発祥…続きを読む
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中部秋季特集:白醤油・白だし=ヤマキ名古屋支店 白だし新商品を投入
調味 2019.10.31●「かつおパック」は2桁増 ヤマキ名古屋支店は2019年3月期、前年比売上高5%増で着地。つゆタイプは好調で、鍋つゆも新商品の寄与で前年実績をクリアした。その他の商品でも「割烹白だし」、かつおパック商品が2桁増となった。特にかつおパックは、上期は前…続きを読む
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中部秋季特集:白醤油・白だし=日東醸造 「しろたまり」普及活動を推進
調味 2019.10.31●主力商品の販路拡大を狙う 日東醸造は、琥珀(こはく)色の醤油「足助仕込三河しろたまり」を主力商品に業務用をメーンとするメーカー。白醤油は家庭の需要が少ない商品のため、同社は業務用商品が9割、家庭用商品が1割の構成比で、ユーザーは飲食店や加工食品メ…続きを読む
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中部秋季特集:白醤油・白だし=ヤマシン醸造 2年連続で「農水大臣賞」
調味 2019.10.31ヤマシン醸造は、白醤油と天然だしをふんだんに使用した「白だし」「しらつゆ」のほか、高質食品スーパーで人気の高い「オリーブ白しょう油」などを扱うメーカー。「全国醤油品評会」では18年に「ヤマシン白醤油」が、19年に「さしみたまり(特級)」が農林水産大臣…続きを読む