介護食品特集

介護食品特集:ユニバーサルデザインフード 2桁増を10年余り継続

惣菜・中食 2019.07.26 11914号 08面

●09年比4倍の伸び

日本介護食品協議会は、6月に会員企業を対象に2018年のユニバーサルデザインフード(UDF)生産統計を集計し、生産量2万4174t(前年比10.2%増)、生産額286億3300万円(同14.9%増)と、十余年にわたって2桁増を継続したと発表した。

生産量、生産額ともに各区分、各流通タイプ、販売先別のいずれの集計カテゴリーでも増加した。10年前の09年に比べると、数量も金額も約4倍と伸びている。製品は、2103品目が登録されている(前年差で78品目増)。

区分別集計は表の通り。数量では「舌でつぶせる(区分3)」が最も多いが、伸び率では「容易にかめる(区分1)」と「歯ぐきでつぶせる(区分2)」で顕著であった。

一方、近年では市販用において「かまなくてよい(区分4)」の引き合いが好調との感触が持たれているが、これを裏付けるように、市販用の生産量では「かまなくてよい(区分4)」が前年比50.8%増と大きく増加し、比率も高まっている。

各区分の構成比率は、「容易にかめる(区分1」から順に13.1%、18.5%、23.9%、44.4%となっている(とろみ調整を除いた構成比)。在宅でのミキサーやペースト食の調理について、介護者の負担軽減の観点から積極的に活用されている様子がうかがえる。

また、市販用においては、生産量は少ないものの「容易にかめる(区分1)」の前年比も34.4%増と高い伸びを示した。

「とろみ調整」についても市販用の前年比は10.4%増と高いものであった。「とろみ調整」は、その汎用(はんよう)性の高さから在宅介護で医師をはじめ介護関連職種より利用を勧められるケースが多いとみられることから、4区分も含めた市販用全般で、生産量、金額とも高い構成比率となっている(各30.9%、53.4%)。

タイプ別では、「冷凍タイプ」が数量的に全体の半数近くを占めているが、同タイプの大部分は施設や病院給食などで利用される業務用の比率が非常に高い(冷凍タイプの99%以上が業務用)。「常温タイプ」についてはレトルト製品、カップゼリー製品で主に構成されているが、レトルト製品については、市販用が90%を超え、逆に、カップゼリー製品が含まれる非レトルトの常温品は、77%が業務用で利用されている。

市販用・業務用比率では、数量的には少ないが市販用が順調に拡大している。市販用の伸びについては、販売先として総合スーパーのほか、ドラッグストアでの配荷率が高まっていることを受けている。

このように、介護食品市場は、現在は業務用が中心で構成されているが、今後の高齢者行政は在宅介護を推進する方向性を示している。中でも、生活者の介護食品に対する認知率は年々高まっていることから、今後市販用の比率はさらに高まるものと思われる。

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