全国清涼飲料特集
全国清涼飲料特集:上半期を彩ったトピックス=多様化する購買動向に対応
日本コカ・コーラの和佐高志Chief Marketing Officerは「デジタルネイティブな若年層には、人にシェアしたくなる、情報発信の中の一人になっていくようなコミュニケーションがポイントとなる。そんな他者にシェアしたくなる情報の一つとして、今年から来年に関しては、ラグビーのワールドカップに出場する日本代表チームや東京2020大会など大きなイベントをいかに活用していくかがポイントとなる」と語る。
この「人にシェアしたくなる。情報発信の一人になっていく(拡散する)」というコミュニケーションは、ティーンエージャーをはじめとする若年層へのアプローチの今後の鍵となっていくのだろう。
同社では今春、乃木坂46を「ファンタ」ブランドのアンバサダーとして起用し、ティーンユーザーと同ブランドをつないでいる。「ファンタ 世界のおいしいフレーバー ソカタ」を自動販売機限定商品として新発売した際に、ティザー施策として展開したメンバー出演のツイッターでの動画を掲載したところ、3日間で1290万回以上の再生を記録したという。同期間における再生回数は日本コカ・コーラ史上最高を記録し(6月5日時点)、同品の売上げも絶好調だという。「『ソカタ』ってなに?と喚起させることで、実際の購入につながったケースとなる。ティーンエージャーなど若年層は感度が高く、製品やサービスを誰が発信しているのか、それが共感できる情報なのかを注視し、それにより、情報の発信や拡散を行い、仲間とシェアし合う」(和佐高志Chief Marketing Officer)のだという。
このミレニアル世代特有のインサイトや情報感度、購買傾向は、今後のマーケティング活動において、避けては通れないポイントになるのだろう。
「非・急須世代」のインサイトに対応する「天然水」ブランドからの提案「サントリー天然水 GREEN TEA」(サントリー食品インターナショナル)などのカテゴリーを超える提案や「検索エンジンで検索するのではなく、インスタグラムで検索する世代」(奥野誠司大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部製品部企画室室長)、「企業の環境配慮や社会貢献の度合いが消費購買動向を左右する“今を生きる世代”」(西田裕美カゴメ社マーケティング本部飲料企画部部長)など、今後、人口構造として減少するティーンエージャーや若年層へのアプローチは次世代の飲料業界にとって、今後の鍵をにぎる存在となりそうだ。
その一方で、「ゴールデンジェネレーションともいえる、これからのシニア層はRTDの製品に慣れた人たちが老後を迎えることになる。これからの日本の市場を考えると、シニア世代に対する商品の開発やマーケティングがさらに必要になり、同世代を抜きには、どの業界もビジネスを語れなくなるだろう」と示唆を示した(和佐高志Chief Marketing Officer)。
さぁ、「令和」初の夏はどんな夏になるのだろうか。