チーズ特集

乳肉・油脂 2021.08.13
チーズ特集

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費行動の変化を受けチーズ市場は、「ウィズコロナ」の生活様式が長期化する現在、市場拡大を継続できるかどうか、まさに正念場を迎えつつある。2020年度は「巣ごもり消費」の常態化で、家庭用チーズ市場は年間で前年比2桁成長。一方で業務用市場はコロナ禍のマイナスインパクトが大きく、チャネルによる差はあるものの、度重なる緊急事態宣言の発令などの行動制限が響いて同2桁以上のダウンとなった。
 21年度に入ってからは前年の反動を受け、足元の厳しさは続いているが、家庭用は19年度比では着実なベースアップを達成。業務用は反動増の傾向があるものの、一昨年並みのレベルはまだ遠いとの見方が強い。輸入に目を向けると、生産は逼迫(ひっぱく)状況にはないものの、世界的な需要の高まりで、相場は上昇基調にあり他の食品同様、物流・原料コストの高まりが気になるところ。食材としての役割にとどまらず、海外の香りを運び、ストーリー性の高い食文化を演出するチーズの本領を発揮するために各社はさまざまなコミュニケーション策や販促策を投じており、市場のさらなる活性化が期待される。(小澤弘教)