関西四国新春特集

生鮮食品 2021.01.30
関西四国新春特集

 20年は新型コロナウイルス感染症に翻弄(ほんろう)される一年となった。感染拡大を防ぐ三密(密閉・密集・密着)回避が常態化し、社会経済活動が大きく変わった。食品業界では、長引く外出自粛や学校休校、テレワークの増加などで内食需要(巣ごもり需要)が高まったことが追い風となり、食品スーパーはおおむね好調に推移。保存性の高い加工食品だけでなく、家庭内で食事をつくる機会が増えたことで、生鮮食品(青果・畜産・水産)も売上げを伸ばした。
 一方で外食を中心とした業務用分野の落ち込みが続いており、回復の兆しが見えない。
 「今年こそ良い年になりますように」という願いもむなしく、21年も年明け早々、感染者の急増で、1月7日首都圏の1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)、同13日7府県(大阪・兵庫・京都・愛知・岐阜・福岡・栃木)に緊急事態宣言の発出を決定するなど、幸先の悪いスタートとなっている。
 上記写真の通り、一昨年まで観光客やインバウンドでにぎわいを見せた大阪のディープスポット“新世界”も閑散としている。外出の自粛やリモートワークの増加だけでなく、コロナは生活者の価値観も一変させた。新しい生活様式(ニューノーマル)が定着しつつある中、「継続するもの」「変えるもの」が明確化している。成長戦略を描くためには、既存のコア事業や主力商品に磨きをかけることに加え、ニューノーマルにおけるニーズの変化に柔軟に対応し、価格一辺倒ではない新しい価値を創造しなければならない。
 危機的状況をチャンスに変えるためには、各カテゴリーで少々奇抜なアイデアも必要だ。反転攻勢に向けたチャレンジ的な取組みや、商品開発に期待したい。(関西支社=廣瀬嘉一)