九州食品産業特集
農林水産省によると、2018年の全国、九州農業の産出額は全国で9.1兆円、九州で1.8兆円で、九州における全国シェアは19.6%となっている。ブロック別シェアでは関東27.3%に次ぎ、以後東北、北海道と続く。
都道府県別に見ると、鹿児島県が4863億円で全国2位、宮崎県が3529億円で同5位、熊本県が3406億円で同6位となっている。
各農畜産物別では畜産部門が8302億円で25.5%を占め、野菜が4724億円で18.4%、コメが1873億円で10.7%、果実が1259億円で15.0%となっている。
特に九州地区は畜産王国ともいえる数値があり、鹿児島県では肉用牛1266億円、豚806億円でともに全国1位。ブロイラーでも宮崎県696億円、鹿児島県693億円と全国1位と2位だ。
水産業では2018年海面漁業漁獲量は全国332.9万tに対して九州は54万tで全国シェアは16.2%。これに海面養殖業漁獲量では全国100.3万tに対して九州27.3万tで全国シェアは27.2%となっている。
これらを見ると、生産額、生産量はもちろん、農業、畜産、水産業で九州はこれら第1次産業の生産地であることがわかる。その中で九州各県で日本一を誇る産物は多い。
豊富に恵まれた九州の食資源だが、これらを活用した地域活性化への取組みとしての6次産業化にも大きな期待がかけられている。
その裏には「農商工連携」というトータルな施策も必要で、原料、加工業、商業という生活者まで届く全体観を持って処することが肝要だ。九州は農水畜産物の宝庫であり、また、これらの原料を加工する食品製造業も数多い。
近年、商品の差別化戦略の一環として九州原料にこだわった加工品に力を入れているメーカーも多い。原料から製品化する加工メーカーの役割は大きく、6次産業推進化で強い基盤を持つ九州食品加工業の意義は大きな意味を持つ。ここでは全国へと根を張るメーカーも多いがその各社の現況を紹介する。
(九州支局長=堀江勝)
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