漬物特集

漬物特集:2018年生産量、微増の70万t超え 年後半は原料野菜が潤沢に

漬物・佃煮 特集 2019.07.06 11904号 03面
すべての世代が即食性を求めている

すべての世代が即食性を求めている

食品需給研究センターの「食品製造業の生産動向」によれば、「野菜・果実漬物」の2018年の生産量(表)は、全体で前年比1.9%増の70万5333tだった。13年に下げ止まったが、14年は微減、15年は微増に転じて、16、17年と微減が続いた。18年は14年と同じ水準。02年から10年以上にわたり減少の一途だったが、ここ数年は微増微減を繰り返している。120万t超と過去最大の生産量だった1991年に比べ、ここ数年間はその6割ほどに縮小している。カテゴリーにもよるが、17年から18年前半にかけて、ほとんどの原料野菜が不足していた一方、18年後半は冬野菜が潤沢になった。

葉物野菜が高止まりすると需要は高まるが、増量セールや特売などの積極的な販売促進の企画ができず、「売れば売るほど利益を失う」「原料野菜の値上がりで量販店に商品の価格改定を求め理解が得られた」「書き入れ時の年末から春にかけては原料が潤沢で、前年と今年前半の分を巻き返した」といったメーカーもあった。ただ、「野菜が安いと市場は落ち着いてしまう」(メーカー)。同データは15年前、特にキムチ、梅干し、ラッキョウのデータが実態と乖離(かいり)しているとの指摘を受けたが、公式な統計がほかに存在しないため、一定の傾向を把握する目的で採用している。

●7月以降は安定した伸び

18年前半は前年比微減傾向だったが、7月以降、19年4月まで安定的な増加が続いている。ボリュームの大きいキムチや浅漬けは、18年後半から主原料の白菜原料が潤沢だったため、積極的な販売ができた。18年の韓国産キムチの日本向け輸出量が前年比20%増となったが、国産キムチの供給不足を補う特需だったとの見方もある。

●11、12年が落ち込みの底

月別では11年、12年は1月から12月までのすべての月が前年同月比マイナスとなっていた。13年は6~11月に前年を上回った。14年は3、5、6月が前年同月を上回った。15年は3、4月以外は前年並み以上で、特に6月以降は好調に推移した。

16年は時期的な傾向がなく多くの月で前年を上回ったものの、10、12月が2桁減だった。12年夏に北海道で発生したO157による食中毒事故の影響は13年以降は回復し、浅漬けについては15年に2桁増と大きく伸長、16年はその反動からか3.1%減少、17、18年も微減だった。

14年は海外原料を使用している古漬類で、円安のため量目調整による実質値上げが相次ぎマイナス要因となった。

13年以降もわずかな増減を繰り返しているが、近年では11、12年が大幅減の底辺だったようだ。

●健美食需要で伸長

梅干しは16年5月に、TV番組で焼き梅干しのダイエット効果が取り上げられ、16年は平年の1.5~2倍の売れ行きとなった。熱中症対策も重なり、5~8月の4ヵ月間で1年半分の原料を使った。16年産は作柄が悪くタイトだった上に17年も連続して不作となった。2年連続の不作は異例。思うような販促ができずに、5~9月の需要期に前年比30%近くも落ち込んだ。

18年産は豊作傾向かつ需要も旺盛だった。ダイエット効果よりも熱中症対策が注目されメーカーによっては「残業しても注文に応じきれなかった」「原料在庫を使い切ってしまった」との声もあった。19年産原料は台風による塩害、ひょう害などで前年の8割ほどにとどまる見通し。

ラッキョウは前年に4割近く伸びたにもかかわらず、18年も1割近く伸びた。ラッキョウの水溶性食物繊維がダイエットに効果的であるとメディアで紹介されて以来、売れ行きは好調で引き続き健美食として需要が期待できる。19年も2桁増の勢いとなっている。

●求められる即食性

浅漬けとたくあんが振るわないが、個食カップの浅漬け、スライスたくあんは好調だという。複数の野菜などを組み合わせた惣菜に近い浅漬けやご飯以外のものとの相性を訴求できるものが消費者に支持されている。いわゆる“ぶっかけ系”の商品は麺類、豆腐に載せたり納豆などに混ぜるといった用途が広く、「味付けは漬物がしてくれる」ような調理の手間を一つ省ける商品が求められている。

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