鍋物調味料特集

鍋物調味料特集:ぽん酢=“鍋”を再訴求 停滞脱する万能提案も

調味 2019.10.11 11955号 08面

味付けぽん酢は今季、トップブランドであるMizkanの「味ぽん」が発売55周年を迎え、水炊きをはじめとした、鍋用途の再訴求が進みそうだ。市場は前期、約4%減で縮小し、今期は縮小幅を小さくして健闘している。煮炊きやサラダといった鍋以外の汎用訴求が定着し、大容量化も進む。徳用・価格訴求に陥らず、価値と単価を高める万能調味料という提案、浸透も待たれる。

「味ぽん」は1964年、博多水炊きのおいしさにヒントを得て、鍋用調味料として発売された。柑橘果汁のぽん酢と醤油、だしなどのうまみを合わせ、水炊き、しゃぶしゃぶのつけだれとして支持を広げてきた。発売翌年からのCM投下。味付けぽん酢の知名度を全国区にし、市場を築いた。以後も焼肉や日常メニュー、サンマといった旬素材、煮炊き提案など、使用メニューとともに存在価値を増幅してきた。

「味ぽん」周年記念の今季は11月10日の誕生日イベントを企画。前後してTVCMを2900GRPと大量投下し、久しぶりの鍋訴求に注力する。まずは10月から、昔ながらの水炊き鍋の魅力を伝え、11月からは現代的な鍋メニューでのつけ、具材だれなどを提案。味付け鍋全盛の今、忘れられがちな食材そのものの味わいを楽しむ、水炊きの価値を浸透させる。

市場は17年度以降は縮小。16年の水と同量で煮るだけの「さっぱり煮」、ごまや玉ネギといった具材入り商材のヒットからの反動減、停滞が続く。前期は具材人気の揺り戻しがみられ、例年以上の縮小となったが、ほかの年は微減。内実を見るとレギュラータイプの600ml大容量化、単価ダウンも響いて消費そのものは底堅い。特に自然由来の清涼感、減塩効果を強みにした煮炊き、炒めの加熱調理が定着。使用増を促すメニュー提案は依然盛んで、単年度での規模回復も望めそうだ。

今期はMizkanが6月から「さっぱり煮」の合わせ調味料、用途を進化させた「1to1(ワントゥーワン)メニュー」を提案。トマトジュースを使った「トマト煮」などで飲料人気を内食へ引き込む。2番手のヤマサ醤油は「昆布ぽん酢」20周年を記念し、主力「昆布」で久しぶりにCMを投下した。500ml導入、草なぎ剛の限定ボトルも好評を博して増収。

ぽん酢の汎用(はんよう)はすでに鍋用途を上回っているとみられ、今期鍋の復権が果たされれば底上げ、市場回復も望める。汎用定着はぽん酢の真価浸透の証左。さまざまな素材を引き立てる、絶妙な五味のバランス、ちょうど良いあんばいといった基本価値を、形を変えて伝え続けたい。

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