介護食品特集

介護食品特集:ユニバーサルデザインフード 生産量倍増・生産額5割増

惣菜・中食 2020.07.27 12087号 06面

 ●市販用が業務用を逆転

 日本介護食品協議会は、会員企業を対象に令和元(2019)年のユニバーサルデザインフード(UDF)生産統計を集計した。この結果、生産量5万8387t(前年比141.5%増)、生産額430億4400万円(同50.3%増)で著しく増加した(表)。

 市販用、業務用について各全体の生産量と販売額を見ると、常温品が中心の市販用においては生産量3万4488t(同454.5%増)、生産額197億3200万円(同109.5%増)で、施設や病院の給食などに利用される業務用は2万3899t(同33.1%増)、233億1200万円(同21.3%増)であった。市販用・業務用比率を見ると市販用が59.1%(前回25.7%)、業務用が40.9%(同74.3%)と、前回までの傾向は一気に逆転した。市販用UDFに食パン製品などが新たに登録されたことや歯ぐきでつぶせる(区分2)に業務用で活用実績のある製品がUDFを取得したことに起因している。

 販売先別の各区分構成比率(生産量ベース)を見ると、市販用は「容易にかめる(区分1)」~「とろみ調整食品」の順に82.3%、2.5%、3.3%、5.9%、6.0%であった。業務用では、同様に30.4%、22.7%、30.8%、8.5%、8.5%であった。市販用のうちレトルト製品を見ると、前年比は8.5%増(生産量ベース)と順調に推移している。レトルト製品の区分別前年比を見ると(生産量ベース)、「容易にかめる(区分1)」が10.5%減少したが、「歯ぐきでつぶせる(区分2)」が6.2%増、「舌でつぶせる(区分3)」が13.1%増、「かまなくてよい(区分4)」が16.5%増であり、「かまなくてよい(区分4)」の伸びが最も高かった。市販用は主な販売先としてドラッグストア、総合スーパー、通販での取り扱いが多い。

 業務用では冷凍品が7割以上を占めているが、こちらは前年比44.2%増(生産量ベース)と大幅に増加した。冷凍品の区分別前年比を見ると(生産量ベース)、「容易にかめる(区分1)」が29.6%増、「歯ぐきでつぶせる(区分2)」が137.8増、「舌でつぶせる(区分3)」が8.1%増、「かまなくてよい(区分4)」が18.7%であり、「歯ぐきでつぶせる(区分2)」の伸びが最も高かったが、「容易にかめる(区分1)」についても大きく増加した。近年では病院・施設での給食において「容易にかめる(区分1)」、「歯ぐきでつぶせる(区分2)」の活用頻度が高まっている。

 UDFを含む介護用加工食品の市場は、施設や病院での給食を主体に成長してきたが、今後の高齢者行政が在宅介護を推進する方向性を示している中、生活者の介護食品に対するニーズや認知率の高まりもあり、今後市販向け製品の投入がさらに高まっていくものと思われる。

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