スイーツ&ベーカリー特集

菓子 2021.04.21
スイーツ&ベーカリー特集

 ●進む臨機応変なかじ取り
 アフターコロナに向けたニュースタンダードが到来する中、食品屈指のし好産業であるスイーツ・ベーカリー市場も、かつてない新たな局面を迎えている。戦後最大規模の急激なニーズ変化に対して、これらを受け入れるとともに、新時代に適合する活性化策が急務として求められている。
 外出自粛やイベント中止、インバウンドの消失に直面する中で、業界は20年、一部のチャネルを除き大打撃を受けた。都市部では有力店を含んだ閉店や廃業、撤退や規模縮小が相次ぎ、これらの報道は、生活者の不安感を助長させた。
 しかし、業界は本来の“華やかで楽しい”市場特性を堅持しつつ、臨機応変なかじ取りを見せている。ECを活用した取り寄せスイーツ(パン)は、世界最高峰のジャパンプレミアムを見事に再現し、日常買い場として業界を支えるスーパー・コンビニエンスストア(CVS)スイーツは品質やおいしさに加え、日持ちや食品ロス削減などの側面でも、もう一段レベルを高めている。
 真骨頂である路面店やデパ地下でも、困難とされていた感染防止とプレミアム性の両立が完成されつつあり、今春は回復基調が見られる。
 20年4月に発行した前回の本特集で、日本食糧新聞では同市場の情緒的価値こそが“再興への活力源”と断言した。世界的な閉塞感や不安感が依然漂う現状下、両市場に共通する21年の重要ミッションは、活力源のさらに根本にある生活者心理の向上、つまり従来以上の“癒やし”にあると考える。
 「スイーツ」「ベーカリー」の定義は諸説あるが、本紙では和洋生菓子全般に加え、観光・土産菓子、高級ショコラ、外食分野のデザートメニューなどを「スイーツ」とし、専門店舗形態としてのパン屋、インストアベーカリーなど広域流通品以外のパンを「ベーカリー」とする。
 (取材・執筆=日本食糧新聞取材班、協力=全日本洋菓子工業会、百貨店、駅ナカ・交通商業施設、CVS、量販店、製造・素材メーカー、各販売店舗、製造関係者、一般消費者)