中部外食産業特集

中部外食産業特集:働き方改革最前線=タキモ本店 「女性とママの視点」が基本

外食 2019.11.30 11978号 07面
早川敏江社長

早川敏江社長

社長室内のキッズルーム

社長室内のキッズルーム

●柔軟な勤務時間を実現

1760年ごろから名古屋圏の和食文化を支えてきた老舗のタキモ本店が、令和時代においても他社に先駆け働き方改革を進めている。先頭に立つのは創業家出身の早川敏江社長。

改革の基本は「女性とママの視点」で、柔軟な勤務時間と子連れ出勤を可能にするため、社長室の一角にキッズルームを作った。自身も4人の子育てに奮闘した経験があり、専業主婦だった当時は、世間にママが働ける環境がなかった苦い経験がある。

目指したのは、「地域のママの能力を埋もれさせない」こと。現在は、外資系や大手コンサルタント出身など、キャリアがありながら子育てという事情で辞めざるを得なかったママたちが、柔軟な勤務時間の中でその能力をいかんなく発揮している。

現在、子育てをしながら勤務しているのは、地元のママ4人。雇用形態はアルバイトだが、勤務の基本的管理の考えは、時間ではなく、一つ一つの仕事にあり、期日までに仕事を終えれば、働く時間は自由に設定できる。勤務の途中で幼稚園の迎えに行き、その後に子どもと一緒に出勤することも可能だ。

そして数年後、子育てが落ち着き、正社員として働けるようになったら「当社に限らず、活躍の場を見つけてほしい」と早川社長は願っている。

また、外国人の採用も積極的。同社正社員でガーナ出身のアブラハム・シャーさんは以前、ハローワークから「良い子だがなかなか採用が決まらない」と相談があった。早川社長は面接すると、その優しく真面目な人柄に採用を即決した。今では得意先のホテルや外食店から「アビちゃん」と親しまれ、流ちょうな日本語を駆使して活躍している。

一方、働き方改革として、10月末で、受注の24時間対応をやめた。苦渋の決断だったが、今まで通りのマガモなどの特異な商品提供と真摯(しんし)なサービスを継続させることで、厳しい和食の世界で「お客さまの味を守り続けていく」と、和食界のさらなる発展を見据える。

〈事業内容〉和洋食材、生アユ、野鳥、高級珍味などの卸。商品数は1万に上り、特にマガモは、同社本社で職人が絞めて卸すなど、東海地区唯一。また、削り節は京都の料亭が使用するのと同様の「メジマグロの血合抜き」をはじめ、職人が得意先それぞれの要望に応じて削り節をブレンドするなど、料理人からの信頼が厚い。(海野裕之)

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