コメビジネス最前線特集
コメビジネス最前線特集:米粉 市場は堅調推移 東京2020で世界にアピール
国産米粉産業が堅調だ。技術革新と用途拡大に向けた長年の努力を通じて、多様な食品加工や惣菜、外食などで利用が徐々に拡大している。現に米粉製造企業は、少しずつだが、生産量を着実に伸長させている。
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原料米の生産量・需要量の推移を見ると、17年度生産量は2万8000t、前年から1万t近く拡大。18年度も前年並みの約2万8000tを維持した。一方需要量は、17年度が2万5000tで前年比8%増、18年は同24%増の約3万1000tに達した。
大手製パンメーカーや菓子業界はもとより、加工食品業界でも米粉利用に挑戦する企業が増え、米粉特有のもっちりソフトな食感が、消費者に受け入れ始めていることが、背景にある。
例えば、敷島製パンの「ゆめちから小麦と米粉のロール6入」は、国産のゆめちから小麦粉に、新潟県産米粉を配合。独特のもちっとした食感で、かむごとにコメの甘みが広がり、トーストすると外はパリッと香ばしく、中はモチのような食感が特徴だ。新商品の発売2ヵ月後の売上げが、前月の半分以下になる業界内にあって、同品は17年2月の発売以降、安定した売上げを確保し、現在も月間1億円を超える大ヒット商品だという。
製麺業界では、米粉産業集積地新潟県胎内市に本拠を構える小国製麺が、NB全商品に米粉を配合。中でも人気の生パスタ「エチゴッティ」には、3割配合し、米粉のもちもち食感や甘み、滑らかさなど、コメの長所が際立つ一品になっている。
一方最新の話題では、東京2020組織委員会が7月10日、東京2020公式ライセンス商品の菓子カテゴリーとして、「東京2020エンブレムバナナカスタードケーキ」を新発売した。人気の銘菓「東京ばな奈」の米粉バージョンで、東京駅でも大々的にアピールしている。
来年のオリンピック・パラリンピックが、グルテンフリーの観点で、日本産米粉に関する海外注目度向上の起爆剤となり得るか、大いに期待したい。