おいしい減塩食品特集

おいしい減塩食品特集:減塩・無塩食品2.7%増 強まる塩分摂取抑制の動き

調味 2020.07.20 12085号 07面
今春発売された減塩・低塩をうたった商品。使用する塩分を減らしても味や素材感にはこだわった

今春発売された減塩・低塩をうたった商品。使用する塩分を減らしても味や素材感にはこだわった

国循のかるしお認定商品を使った試食実演。減塩食品の普及には小売業の理解が欠かせない

国循のかるしお認定商品を使った試食実演。減塩食品の普及には小売業の理解が欠かせない

 塩は料理の味付けや加工食品の製造に欠かせないが、過剰摂取は健康を害する要因になるため、世界的に塩分摂取量を抑制する動きが拡大している。

 厚生労働省により5年ぶりに改訂された「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人1日当たりのナトリウム(食塩相当量)摂取量の目標値を男性7.5g、女性6.5gと定めた。15年版と比べて男女とも0.5g引き下げられた。高血圧および慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量の目標値は、男女ともに1日当たり6g未満に設定された。

 日本高血圧学会が高血圧治療ガイドラインで推奨する1日当たりの塩分摂取量も6g未満だ。さらに海外ではより低い目標値が設定されており、WHOは1日5g未満を推奨する。

 国は生活習慣病の重症化予防に加え、高齢者の低栄養(フレイル)防止を視野に入れているため、今後も厚労省が定める塩の摂取基準は引き下げられることが予想される。さらには食塩相当量表示が完全義務化されたことで、消費者の目も厳しくなった。

 一方、最新の「国民健康・栄養調査」によると、日本人の1日当たりの食塩摂取量の平均値は10.1g。男性が11g、女性が9.3gで、男女ともにどの世代でも厚労省の定める基準を超えている。年代別の摂取量では男女ともに60代が最も高い。20代と40代は比較的低い傾向にある。直近10年で見ると塩分摂取量は減少しているが、日本人の塩分摂取量はまだまだ多いと言えそうだ。

 ○おいしい新商品

 富士経済によると、19年の国内減塩・無塩食品市場は前年比2.7%増の1393億円。味噌や醤油などの調味料、スープ類では減塩・低塩アイテムが売場に定着した。食塩無添加の野菜ジュースも多い。こうした中、食品メーカー各社は塩分使用量を抑えた商品の開発を進めており、今春も注目の新商品が数多く発売された。

 キッコーマン食品は「いつでも新鮮 超減塩しょうゆ 食塩分66%カット」を発売。もともと減塩タイプの商品は取り扱っていたが、独自の発酵技術により過去最高の塩分カット率を実現した。食塩相当量は大さじ1杯で0.8g。居酒屋やレストランなど業務用の卓上使用を想定した「味わい豊かな 減塩しょうゆ」も発売し、パッケージには「Less salt(=塩を減らす)」の文言を入れた。

 日清食品が昨年9月に発売した「カップヌードル ソルトオフ」は、カップヌードルらしい味わいと食べ応えを維持しながら塩分を30%カットしたことが話題に。今年3月にはソルトオフシリーズ第2弾として「日清のどん兵衛 きつねうどん ソルトオフ」を投入し、主力ブランドでの減塩商品のラインアップを強化した。

 2月にリニューアルした湖池屋の「プライドポテト 芋まるごと 食塩不使用」は、ポテトチップスには不可欠だと考えられていた塩を使わないことで新市場を開拓。ジャガイモ本来の味を楽しめるため、健康を意識する層の獲得に成功した。

 フジパンは塩分の摂取制限に悩む消費者の声に耳を傾け、3月に塩分を80%カットした「減塩食パン」を発売した。1枚当たりの食塩相当量は0.14gで、6枚切2枚入りの食べきりサイズだ。塩は殺菌作用や生地強化の上で重要な役割を果たすが、製法を工夫してパンとしてのおいしさも追求した。

 三島食品は主力の「ゆかり」誕生50周年を記念して、2月に「減塩ゆかり」を発売。赤シソは国産原料を100%使用し、従来品に比べて塩分を30%カットした。

 また、ヒガシマル醤油の「宗田鰹節そうめんつゆ(塩分25%カット)」「京風割烹 白だし酢」「昆布と鰹のだししょうゆ」、丸大食品の「淡路島の藻塩使用 から揚げ〈減塩しょうゆ仕立て〉」、ハナマルキ「かるしおおいしい減塩 だし入りみそ」、マルトモ「減塩 だし用にぼし」など、塩分の使用量を抑えた商品の発売が相次いだ。

 ○広がる減塩運動

 過度な塩分摂取を抑制するため、各団体や自治体でも取組みが進んでいる。

 国立循環器病研究センター(国循)は、おいしい減塩食を広めるために「かるしおプロジェクト」を展開。食生活の改善を目的にかるしお認定制度や減塩レシピの紹介、料理コンテストなどで啓発を行う。

 日本高血圧学会減塩委員会では認定基準を満たした市販の減塩商品をリスト化。「減塩食品アワード」を設けるなど、食の減塩化を後押しする。ヘルスケア総合企業のファンデリーが立ち上げた、塩分摂取量を適正に保つことを通じて健康改善の実現を目指す「らくだ6.0プロジェクト」も動き出した。

 塩業界の企業・団体が加盟する塩と暮らしを結ぶ運動推進協議会(くらしお協議会)は、塩に関する正しい情報発信に努める。減塩一辺倒ではなく、熱中症予防などでは適度な塩分摂取が必要な点をPRする。生命維持には欠かせない塩の適度な摂取を呼びかける。

 健康寿命を延ばすために、長野県は「信州ACE(エース)プロジェクト」を展開。生活習慣病予防に効果のあるAction(体を動かす)、Check(健診を受ける)、Eat(健康に食べる)の各項目で県民の健康増進を図る。

 広島県呉市では、健康教室や講演会で市民の減塩意識を高める。塩分と血圧からみたハイリスク者には食生活改善を促す。保育所や学校と連携して子ども向けの食育も推進。市全体で減塩生活に配慮した環境を醸成する。

 岐阜県下呂市の「下呂減塩元気大作戦」では、食環境整備により健康寿命の延伸を目指す。その取組みが評価され『健康寿命をのばそう!アワード』の生活習慣病予防分野で最優秀賞を受賞した。

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     ●製配販連携で価値訴求を  食品業界において減塩商品の市場が拡大している。日本人の1日当たりの塩分摂取量は10.1g(平成30年「国民健康・栄養調査」)で、これは世界保健機関(WHO)が推奨する世界基準の目標値の約2倍 […]

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