全国麺類特集

小麦加工 2021.05.31
全国麺類特集

 麺類市場は昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で環境が大きく変化した。感染防止対策として、外出自粛などを背景に家庭用の売上げが伸びた一方で、外食産業、学校・事業所給食など業務用関連の売上げが減少した。21年も日本国内は、引き続きコロナ禍の中にあり、感染者も増減を繰り返して、収束の見通しが立たない状況となっている。そのため、麺類の市場環境としては20年と同様に家庭用への需要が高止まりする半面、業務用は苦戦すると予想されている。家庭用は、ニーズが高まっていることから販売増のチャンスだが、20年実績が大きな増加だったため、前年比で上回るのには高いハードルとなっている。業務用については、感染者数の増加により、緊急事態宣言やまん延防止措置などが出されたため、外食産業の苦境やテレワークなど、社会環境は20年と比べても好転しておらず、厳しい状況が続いていきそうだ。そんな中、宅配やテークアウト需要など、新しい需要への対応がさらに求められてくる。
 麺類の家庭用カテゴリーの20年は、乾麺、生麺、冷凍麺、即席麺など、主要カテゴリーで需要が増加した。コロナ禍で、在宅人数、時間が増えたことで、3度の食事を家庭内でとることになったことで、麺類への需要が高まった。カテゴリーによっては、年間通じて売上げが落ちなかったカテゴリーや、春先に大きな売上げを獲得したものの、秋冬になるとやや低調だったカテゴリーなど、状況は違ったが、全体的には拡大した。
 業務用はコロナ禍のマイナス影響が直撃した結果となった。外食産業などではよくて前年の7割程度、学校給食は学校の再開に伴い回復したものの、事業所給食はテレワークにより、売上げが減少した。中でも、SM向け中食などは販売順調だった。さらには、外食店などでは、テークアウトなどで利益確保を図った。そのため、メーカーは、新しいニーズに対して、伸びにくい麺の開発などに取り組んでいった。
 21年の家庭用市場は、積極的な新商品の展開など行い、前年の大きな実績を目指している。例えばチルド麺では、外食のラーメン店の代替需要獲得を目指した高品質の商品が投入されている。また、今シーズンは、即食タイプの再活性化を図っていく考えだ。冷凍麺では、つけ麺・まぜ麺といった汁なしタイプが伸長していることを受け、各社ともアイテムの充実に取り組む。また、片付け不要などの簡便性を打ち出したトレー付商品の拡充などが行われている。
 即席麺では、順調な袋麺の維持・拡大していくことが課題となってくる。そのためには、これまでのように袋麺を使ったアレンジレシピの提案の強化を行い“飽きさせない”取組みが重要となってくる。ほかの加工食品メーカーの素材を使ったレシピの展開や、話題性のあるキャンペーンの実施、袋麺の新たな定番となる商品の育成など活発に行われそうだ。